トランプ大統領、初日に大統領令25本以上に署名…「パリ協定」再離脱などバイデン路線を大幅転換
読売新聞 / 2025年1月21日 22時50分
【ワシントン=向井ゆう子】米国のドナルド・トランプ大統領(78)が20日に就任し、第2次政権が始動した。トランプ氏は同日、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの再離脱、不法移民の流入を防ぐための国境封鎖などに関する25本以上の大統領令に署名し、バイデン前政権の路線からの大幅転換を図った。就任演説で「米国第一」をアピールし、自国優先の姿勢を鮮明にした。
トランプ氏は同日、首都ワシントンの連邦議会議事堂で行われた就任式で宣誓し、第47代大統領に就任した。その後、就任演説に臨み、「米国の黄金時代が始まる」と述べた。「政権のすべての日々において、私は米国を第一に考える」とし、「この瞬間から米国の衰退は終わる」とも強調した。
就任式後、内政、経済、外交など幅広い分野にわたる大統領令に署名し、自らの政策を実行に移す姿勢を示した。不法移民対策については、メキシコと接する国境に「国家非常事態」を宣言し、現地への米軍派遣につながる大統領令に署名した。
対外政策について、演説で「米国は領土を拡大し、新たな地平に国旗を掲げていく」と述べ、領土拡張への野心を示した。大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河の管轄権を米国に再返還するよう求めたほか、「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改称する大統領令に署名した。演説では言及しなかったが、ホワイトハウスで記者団に対し、デンマーク領グリーンランドの領有にも改めて意欲を示した。
昨年の大統領選で主張してきた関税の引き上げについては、記者団に対し、2月1日からメキシコとカナダからの輸入品に最大25%の関税を課す可能性に言及した。
エネルギー政策では、バイデン前政権が気候変動対策の一環として進めた電気自動車(EV)の普及策を撤回すると表明し、石油や天然ガスなどの化石燃料を増産すると強調した。感染症対策などに取り組む国際機関・世界保健機関(WHO)から脱退する大統領令に署名した。
トランプ氏の年齢は78歳7か月で、米大統領の就任時としては最高齢となる。副大統領には、オハイオ州選出の上院議員だったJ・D・バンス氏(40)が就任した。
米国憲法は大統領の任期を通算2期8年と定めている。トランプ氏は2017~21年に1期務めており、今回が最後の任期となる。
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