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太い指の県警マスコットがピアノで「太陽にほえろ!」など演奏…正体はピアノ歴30年の警部

読売新聞 / 2025年1月22日 15時58分

ひばりくんの着ぐるみ姿でピアノ演奏に臨む山口警部(10日、水戸市で)

 茨城県警の公式X(旧ツイッター、@ibarakipolice)で昨年12月、シンボルマスコットの「ひばりくん」がピアノを演奏する1本の動画が投稿された。着ぐるみを身につけた状態で鍵盤けんばんを自由自在に操って曲を演奏し、110番の適正利用を呼びかける、その正体とは――。(大井雅之)

 1月10日、イオンモール水戸内原(水戸市)で開催された県警の「110番の日」のイベント。会場に設置された電子ピアノの前に座ったひばりくんは楽譜を見ず、その太い指で「太陽にほえろ!」や「西部警察」といった人気刑事ドラマのメドレーなどの約10曲を弾いた。「一日通信指令課長」として参加した水戸市出身のフリーアナウンサー、檜山沙耶さん(31)と一緒に演奏する一幕もあった。

 ひばりくんの“中の人”は県警の通信指令課課長補佐、山口貴士警部(53)だ。刑事として長年、詐欺事件などの知能犯捜査に携わってきたが、そもそも、「音楽隊で演奏したい」と県警を志望した。ピアノ歴は30年以上で、県警音楽隊のコンサートに特別出演したこともある。

 県内全域から事件や事故の110番を受理する通信指令課は3交代制で24時間365日稼働している。

 山口警部は副指令官として通報内容の取りまとめを担う。特に注意しているのは、警察官の呼びかけに通報者が応じない「無応答」のケース。「声が出せないほど危険な状態かもしれない。対応する警察官は電話口の向こうの音にも耳を澄ませている」と話す。萩庭博之・通信指令課長は「仲間のことを気にかけてくれて、課内の士気を高めてくれる存在」と評する。

 着ぐるみを身につけたピアノ演奏への挑戦は「人ができないことをやってみたい」という思いからだ。昨秋以降、分厚い手袋とゴーグルを着用した状態で、自宅のグランドピアノを使って練習を重ねた。

 多くの人の前で演奏をやり遂げた山口警部は「楽しんで弾くことができた。適切な110番の利用につながってほしい」と充実した表情で振り返った。

 通信指令課によると、昨年1年間の110番受理件数は前年に比べて6368件多い計25万966件で、1日に平均686件を受理した計算になる。このうち、いたずら電話や間違い電話を除いた有効受理件数は22万1063件だった。

 有効受理件数のうち、「タクシー会社の電話番号を知りたい」や「バス以外で駅まで行く方法はありますか?」といった緊急性のない通報は3万9967件(18・1%)に上る。県警では急を要さない相談や要望については110番ではなく、相談ダイヤル「#9110」の利用を呼びかけている。

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