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夫の家事育児は「満足」、初めて「不満」上回る 専門家が指摘...「家オペ力」は仕事でも役立つ(2)

J-CASTニュース / 2025年1月21日 19時49分

夫の家事育児は「満足」、初めて「不満」上回る 専門家が指摘...「家オペ力」は仕事でも役立つ(2)

一緒に料理を作る若い夫婦(写真はイメージ)

ようやく「イクメン」時代の到来か?

働く主婦・主夫層のホンネ調査機関「しゅふJOB総研」(東京都新宿区)が2024年1月7日に発表した「夫の家事負担調査」によると、夫の家事・育児への取り組みに「満足」という人が初めて過半数を超えた。

過去の調査では「不満」という妻のほうが多かった。仕事に家庭に頑張る夫へのエールを専門家に聞いた。

夫の「家オペレーション力」は仕事でも活かせる

<夫の家事育児は「満足」、初めて「不満」上回る 専門家が指摘...「家オペ力」は仕事でも役立つ(1)>の続きです。

――コメント欄では、さまざまな意見が出ていますが、川上さんはどのコメントが印象に残りましたか。

川上敬太郎さん 「やっと、自分から進んで家事等...やるようになったのは、とってもよいこと」というコメントです。妻から言われたからとイヤイヤ動くのではなく、自分から進んでやるというのは大きな変化だと思います。

妻からしても、「お皿をしまって」などと指示するのも億劫ですし、指示するたびに不貞腐れた態度をとられるのも嫌なもの。夫が自から進んで家事をするというのは、主体者としての認識が芽生えた証。家事育児をめぐる夫の「覚醒」と言ってもよいかもしれません。

――先ほど「家オペレーション」(家オペ)という言葉が出ました。川上さんは以前から夫の仕事の面でも重要だと主張されていますが、改めて説明してください。

川上敬太郎さん 名もなき家事に気づけるかどうかは、視野の広さに比例するとお伝えしましたが、そのメカニズムは職場においても通じる話です。

たとえば、モチベーションの高い社員から「なぜこのプロジェクトをやらせてくれないんですか!」と課長が詰め寄られるような場面。「やる気は買うが、キミがいまこのプロジェクトに関わると担当している業務の進捗が遅れてしまう」と課長からNGが出れば、社員はがっかりするかもしれません。

しかし、課長は課全体の役割と成果を視野に入れています。組織の成果を最大化させるために何がベストかを考えて判断する立場にあるだけに、社員側もただプロジェクトに参加したいと意気込みを伝えるだけでなく、視野を広げて組織の成果という観点からプロジェクト参加のメリットを伝えないと、課長と目線が合わず議論がかみ合わなくなりがちです。

そんな、視野を広げるという課題への気づきを、家庭内の名もなき家事を通じて得ることもできるかもしれません。家庭という組織を運営するメカニズムをひもとくと、職場でも活かせる要素が多分に含まれていることが発見できます。

「家オペ」でたくさんの能力が磨かれている

――ということは、家オペレーションに慣れている女性にとっても仕事に応用できるわけですね。

川上敬太郎さん そのとおりです。さまざまなタイプのママ友たちと上手くやりとりするコミュニケーション力や、毎日の献立を考える企画力、平日も休日もなく家族の食事を作り続ける実行力など、家オペを通じてたくさんの能力が磨かれています。

私はそれらを「家オペ力」と呼んでいます。家オペ力が磨かれることによって、知らず知らずのうちに培われているコミュニケーション力や実行力などは、その人自身の中に素養として備わるソフトスキルとして仕事にも活かされる能力です。

職務から離れれば、その職務の経験に限ってはブランクが生じるかもしれませんが、家事でも育児でも、あらゆる家オペ経験を通じて何らかのソフトスキルが磨かれており、それが成長機会となっています。

企業の採用担当者が「この求職者はブランクが長いからダメだ」などと、その期間に培われた能力を評価しようともせずに不合格にするとしたら、とてももったいないことです。人生には、ブランクなどありません。

――今回の調査で、特に強調しておきたいことはありますか。

川上敬太郎さん 夫が家事育児を頑張っている一方、決して仕事自体が楽になっているわけではありません。つまり、夫は仕事を目いっぱい頑張ったうえで、さらに家事や育児などの工数がそこに上乗せされていることになります。その点においては、仕事だけに専念できた時代の夫より今どきの夫のほうが大変なのではないでしょうか。

一方、妻はそもそも家事や育児などを目いっぱいやってきたなかで、家計補助のために兼業主婦として働き、仕事工数を上乗せして負ってきました。家事育児をするほど負荷が増えたと感じる夫は多いかもしれませんが、多くの妻は、すでにそれ以上の負荷をずっと負い続けてきていたということです。

共働き世帯が増えて主流になるなか、妻が仕事する工数が増えるほど、それがステルス負担となって、いつの間にか家庭運営全体にかかる工数を大きくしてきました。いま夫に上乗せされている家事・育児の負担の多くは、もともと妻が一人で負ってきた負担をシェアするなかで生じてきているものです。

――夫が、妻が立ってきた場所に一緒に立つようになってきたわけですね。

川上敬太郎さん 夫婦が共に家事や育児、介護などと仕事を両立させるようになっていけば、お互いの大変さを実感として理解しやすくなっていく面もあるかと思います。

そして、夫婦がお互いを労わり、尊重し、協力して家庭運営することの重要性はますます高まっていくことになるのではないでしょうか。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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