与那国島民は台湾有事に危機感、中谷防衛相「防衛強化は喫緊の課題」…地対空誘導弾部隊を配備へ
読売新聞 / 2025年1月23日 10時0分
中谷防衛相は22日、沖縄県・与那国島(与那国町)の陸上自衛隊与那国駐屯地を視察した。中谷氏は視察後、記者団に「南西地域の防衛体制の強化は喫緊の課題だ」と述べ、駐屯地への地対空誘導弾部隊の配備に向けた施設整備や、住民の避難体制の強化を進める考えを示した。
日本最西端の与那国島は台湾から約110キロ・メートルと近く、住民は台湾有事への危機感が強い。自衛隊は2016年に駐屯地を開設したが、艦艇や航空機などを監視する沿岸監視隊などが配備されているだけだ。防衛省によると、この日の午後も中国軍のものとみられる無人機が台湾と与那国島の間を通過し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して対応した。防衛省は、弾道ミサイルにも対応できる陸自の「03式中距離地対空誘導弾」(中SAM)の能力向上型の配備を目指し、現在、駐屯地の隣接地の取得手続きを進めている。
中谷氏は同日、糸数健一町長と町役場で会談し、配備計画への理解を求めた。糸数氏は「しっかりやっていただきたい」と応じ、有事の際に住民が避難できるシェルターの整備で協力を要請した。政府は離島での住民避難を巡り、住民が一定期間避難できる「特定臨時避難施設」の整備を進めており、防衛省は与那国町、石垣市、宮古島市の施設整備を助成する費用を25年度予算案に計上した。
中谷氏はこの日、竹富町の竹富島や波照間島も防衛相として初めて訪問し、島外避難の拠点となる港や空港を視察した。中谷氏は、「国境の離島における強い危機意識を感じた。我が国の国防に対して万全を期したい」と記者団に強調した。
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