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三菱自動車、「ホンダ・日産」への合流見送りへ…強みのある東南アジアでのシェア拡大に注力

読売新聞 / 2025年1月24日 5時0分

ホンダと日産自動車との記者会見に臨んだ三菱自動車の加藤隆雄社長(昨年12月23日、東京都中央区で)=大石健登撮影

 ホンダと日産自動車の経営統合に向けた協議を巡り、三菱自動車は合流を見送る方向で調整に入った。ホンダと日産は新たな共同持ち株会社を設立して傘下に入ることを検討しているが、三菱自は株式上場を維持したうえで、両社との協業関係の強化を図る。強みとする東南アジア市場でのシェア(占有率)拡大に向け、柔軟な経営判断ができる現在の体制を当面維持する。

 複数の関係者が明らかにした。昨年12月にホンダと日産が統合協議入りを発表した際、三菱自は今年1月末をめどに合流するかを判断するとしていた。加藤隆雄社長は今月、「必ずしも経営統合ありきではない。選択肢の一つだ」と述べ、両社の統合協議の推移を見極める考えを示していた。

 三菱自は2016年、燃費データ不正問題が発覚して経営苦境に陥り、カルロス・ゴーン社長(当時)が主導する日産から34%の出資を受けた。現在、日産は三菱自株の27%を保有しており、持ち分法適用会社としている。

 このため、ホンダと日産の経営統合協議で、三菱自は合流するかを検討してきた。東南アジアでは一定のブランド力を持っており、米国に注力するホンダや日産とは主戦場が異なる。統合への参画で補完効果が生まれやすいとされていた。

 ただ、三菱自株の時価総額は今月23日時点で約7000億円で、7・9兆円のホンダや1・6兆円の日産に比べて規模が小さい。統合に参画した場合、自社の意向を共同持ち株会社の経営判断に反映させることが難しいとの懸念がある。

 三菱自株主の意向も、合流見送りの背景にあるとみられる。三菱自株の約2割を保有する三菱商事などは、経営再建中の日産が進めるリストラ策の実効性を注視すべきだとの考えがあるとされる。

 三菱自は現時点で経営統合を急がなくても、ホンダや日産との車両の相互供給や技術提携は可能とみている。ソフトウェアを更新して機能を高める次世代車「SDV」や自動運転の分野では、ホンダや日産も単独で巨額の開発費を賄うのは難しいためだ。

 23年の世界販売台数は、ホンダと日産を合わせて735万台に上る。三菱自(78万台)が統合に加わらなくても、トヨタ自動車グループ(1123万台)、独フォルクスワーゲン(923万台)に次ぐ世界3位のグループとなる。

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