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春闘スタート 賃上げの定着で物価高克服を

読売新聞 / 2025年1月24日 5時0分

 経団連の十倉雅和会長と連合の芳野友子会長が会談し、春闘が事実上、スタートした。物価高を克服する高い賃上げ水準を定着させるため、労使が真摯しんしに交渉してもらいたい。

 経団連は、会談に先立って、今春闘の経営側の方針となる「経営労働政策特別委員会報告」を公表した。2023年と24年の春闘で高水準の賃上げが実現し、今年を賃上げの勢いを定着させる「分水れい」と位置づけた。

 基本給を底上げするベースアップ(ベア)については、前年の「有力な選択肢」という表現から一歩踏み込んで、「ベアを念頭に置いた検討が望まれる」として、積極的な対応を呼びかけた。

 家計は物価高で苦しい。物価を反映した実質賃金は22年4月から長くマイナスが続き、いまだに安定的にプラスへと転じるには至っていない。消費が息切れすれば、賃金も投資も増える「成長型経済」への移行が頓挫しかねない。

 25年3月期決算で上場企業は好業績が続く見通しだという。利益の蓄積である内部留保は23年度に600兆円を超えており、賃上げに回す余力はあるはずだ。

 連合は、ベアと定期昇給分を合わせ、全体では「5%以上」、中小については「6%以上」の賃上げを求める方針だ。経営側は、社会的な責務を自覚し、前向きに賃上げに取り組んでほしい。

 先行きには影も差している。

 トランプ米大統領が、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課す考えを示しているからだ。春闘を主導する自動車産業は、両国に生産拠点があり、深刻な打撃を受ける懸念がある。賃上げへの決意の強さが試されよう。

 雇用の7割を占める中小企業の賃上げも大きな課題である。大企業との格差が広がっているからだ。中小企業が原材料費や人件費を適正に価格転嫁できるよう大企業には一層の努力を求めたい。

 中小企業側も省力化や省人化への投資で効率化を進め、賃上げの環境を整えることが大切だ。

 高水準の賃上げを実現したというが、長引く物価高で家計が楽にならないのはなぜなのか、という国民の疑問は強くなっている。

 円安による輸入物価の上昇や人手不足が物価高に拍車をかけている面もある。政府が日本経済の課題を再点検する必要もあろう。

 持続的な賃上げには労働生産性を上げることが不可欠だ。政府は企業に努力を求めるだけでなく、自らも生産性の向上を後押しする施策を練るべきではないか。

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