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とにかく攻撃、非を認めない…トランプ氏伝記映画「彼の物語は決して終わらないメロドラマ」

読売新聞 / 2025年1月25日 8時3分

20代のドナルド・トランプ(セバスチャン・スタン、右)と、師匠のロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)(C)2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

 20日に2期目がスタートした米国のトランプ米大統領の伝記映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」が公開されている。1970年代、不動産業界でのし上がる青年トランプ氏と、彼が「帝王学」を学んだ人物との師弟関係を描く。法的、倫理的に問題がある逸話にも踏み込み、昨秋公開された北米では物議を醸した。イラン出身のアリ・アッバシ監督は「彼の物語は『帝国』としての現代アメリカ、その社会システムの物語でもある」と語る。(文化部 木村直子)

公開で賛否、それでもアカデミー賞ノミネート

 不動産業を経営する父親の下、ビジネスの世界に飛び込んだナイーブな20代のドナルド(セバスチャン・スタン)が、大物を顧客に持つ敏腕弁護士ロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)と出会い、勝つための三つのルールを授かる。▽とにかく攻撃▽非を認めない▽勝利を主張し続ける――といったトランプ流政治の原型とも言える内容が興味深い。その教えを忠実に守るドナルドはたちまち頭角を現し、ホテルやカジノにも事業を広げていく。

 ロイは米ソ冷戦期、共産主義者らを標的にした「赤狩り」で名をはせた。その後、弁護士へと転身したが、強引な手法で後に法曹資格を剥奪はくだつされるなど悪名高い人物で、若き日のトランプ氏の世界観に影響を与え、顧問弁護士として成功を支えた“製造責任者”として描かれる。「ある意味で、男2人の奇妙なラブストーリーとも読める。特に、ロイがドナルドに抱いた愛が印象に残る」とアッバシ監督。本作で青年トランプを演じたセバスチャン・スタンが米アカデミー賞で主演男優賞、ロイ役のジェレミー・ストロングが同助演男優賞にそれぞれノミネートされている。

 トランプ氏への取材歴の長いジャーナリスト、ガブリエル・シャーマンが脚本を担当した。シャーマンは2人の関係性に早くから着目。2016年大統領選での当選後、双方をよく知る関係者への取材と執筆を始めた。20年大統領選での敗北を受け入れない支持者らによる、21年の米連邦議会襲撃事件で製作があやぶまれたものの、昨年の仏カンヌ国際映画祭でプレミア上映された。

 アッバシ監督は「全てを管理するのは難しく、奇妙な製作過程だった」と振り返る。自身にとって、ハリウッドの製作システムで撮った初の英語作品というだけではない。米社会の分断を象徴するように、両極端な反応が寄せられたからだ。「公開後もリベラルな観客からは『なぜ彼をもっと批判的に描かない』『なぜ解釈の余地を残すのか』と問われ、保守的な岩盤支持層からは『お前は、彼をおとしめて金を稼ぎたいだけだろう』と責められた」と明かす。

 表題「アプレンティス(見習い)」は、トランプ氏を有名にしたリアリティー番組にちなむ。その人物像について、様々な姿に形を変える怪物「shape shifter」とアッバシ監督は評したうえで、「人を驚かせたり、過激なことをしたりするのも、周囲が期待するキャラクターを演じているから。彼の物語はとても長く、決して終わらないメロドラマのよう」と語る。

 大統領に就任後、さっそく「ディール(取引)」重視の政策や外交を展開している。「5年後、10年後、20年後に、本作がどう評価されるのか興味があります。この映画は、トランプ氏の一部になるでしょう」

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