米国防長官のヘグセス氏「最強の軍隊」目指し、造船能力を強化へ…軍幹部人事は波乱の可能性も
読売新聞 / 2025年1月26日 1時12分
【ワシントン=阿部真司】米国防長官の人事案を承認された元保守系FOXニュース司会者のピート・ヘグセス氏は、「最強の軍隊」を目指し、核戦力や造船能力の強化を急ぐ構えだ。24日の採決では共和党内の足並みが乱れ、薄氷の決着となった。
14日に開かれた指名承認公聴会では、米メディアが報じた過去の性的スキャンダルなどに時間が費やされ、安全保障政策に関する議論は乏しかった。
ただ、ヘグセス氏は1月、上院公聴会に提出した書面で「私の仕事は米国の安全を守るために、世界最強の軍隊を再建することだ」と強調し、今後の取り組む方向性を具体的に示していた。日米同盟を巡っては、米軍と自衛隊の連携を巡り、「日本との相互運用性の強化は、インド太平洋の抑止力を大幅に強化する」と述べ、在日米軍司令部の再編を通じて、同盟強化に取り組む考えを示した。
ヘグセス氏が危機感を強調したのが、米国の造船能力だ。中国は近年、造船能力を急速に高め、海軍力を強化している。米国では製造業の空洞化などを背景とする造船能力低下が懸念されており、ヘグセス氏は書面で「造船は緊急の国家安全保障上の優先課題だ」とし、造船に関する新たな計画を作成する考えを示した。
軍幹部の人事を巡っては、国内で波紋を呼ぶ可能性がある。トランプ氏は、第1次政権で思うように動かせなかった軍への不満を背景に、自らの意に沿わない軍幹部の解任に繰り返し意欲を示している。
やり玉に挙がりそうなのが、米軍制服組トップで黒人のチャールズ・ブラウン統合参謀本部議長だ。軍の人種差別と闘ってきたと公言し、トランプ支持者から「粛清」の対象に挙げられることが多い。
トランプ氏は、女性や少数派に配慮する「DEI(多様性、公平性、包括性)」の推進が軍を弱体化させたと批判してきた。ヘグセス氏も「DEIの取り組みを組織から根こそぎ取り除く」と共鳴しており、トランプ氏の意向に忠実に従うとみられる。
ヘグセス氏の承認は副大統領による異例の投票にもつれ込み、今後の閣僚承認に暗雲が漂っている。
投票を巡っては、当日までに共和党内の2人が反対する意向を表明し、態度を明らかにしていなかった重鎮のミッチ・マコネル上院議員の動向が注目された。トランプ氏も投票に先立つ24日午前、記者団に「ミッチは反対票を投じるのか。どう?」と繰り返し尋ねた。マコネル氏は反対票を投じた。
月内に待ち受ける他の閣僚人事も難航する可能性がある。ワクチンの効果に懐疑的な厚生長官候補のロバート・ケネディ・ジュニア氏らの指名承認公聴会が近く予定されている。ヘグセス氏の承認を巡る党内の足並みの乱れを受け、米紙ワシントン・ポストは「今後の道筋はより複雑かもしれない」と予測している。
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