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西東京の銭湯が今月末で70年の歴史に幕…後継ぎ不在で決断の店主「感謝しかない」

読売新聞 / 2025年1月27日 14時21分

「最後の日までお客さんに気持ちよく入ってほしい」と話す風間さん(右)と恵美子さん(22日、東京都西東京市のみどり湯で)

 東京都西東京市ひばりが丘の銭湯「みどり湯」が今月31日で閉店する。経営者の高齢化や後継ぎがいないことなどから、70年近く続いた歴史に幕を下ろすことになった。常連客からは「体の芯から温まるお湯だった」と惜しむ声が絶えない。(石井一秋)

 西武池袋線ひばりヶ丘駅から5分ほど歩くと、住宅街の中に、昔ながらの銭湯の趣を残す建物が現れる。

 店主の風間誠さん(65)によると、開業は1957年。68年に風間さんの父・久松さん(故人)が土地や建物を買い取った。屋根は宮造りで、脱衣所の天井は角材を格子状に組んで板を張った「ごう天井」。風格あるたたずまいが特徴だ。

 風間さんが会社勤めをやめて父を手伝うようになったのは40年ほど前。「さっぱりしたよ」「気持ちよかった」。客のそんな一言がうれしかった。93年には店主となり、同年に結婚した恵美子さん(64)も店に立つようになった。

 大きな決断をしたのは2003年。一般家庭に浴室があるのは当たり前の時代になり、客も減りつつあった。店をやめることも考えたが、恵美子さんに「やめてどうするの」と鼓舞され、大規模改装に踏み切った。

 壁側に風呂を寄せた関東風の浴室と、中央に風呂を配した関西風の浴室を設け、週替わりで男湯と女湯を入れ替えた。サウナも大きくし、サウナブームに乗って遠方からもお客がやってくるようになった。

 だが、風間さんは糖尿病を抱え、恵美子さんは膝や腰の痛みに悩まされるようになった。浴室や脱衣所の清掃、接客などを2人で切り盛りし、定休日の金曜日以外は基本的に休みはない。後継者もおらず、苦渋の決断をした。

 20年近く通う常連客(60)は「落ち着く場所で毎日のように来ていた。ここで知り合った人たちとおしゃべりするのも楽しみだった」と残念がる。風間さんが12月下旬に閉店のお知らせを店頭に貼り出すと、SNSで広がり、のれんをくぐる新たな客も増えたという。

 風間さんは「利用してくれた方々には感謝しかない。さみしくないと言えばうそになるが、最後の日まで営業を続けたい」と語った。

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