インドと日本の安全保障や経済の連携強化へ、活発な人的交流が基盤…駐日インド大使が本紙に寄稿
読売新聞 / 2025年1月26日 5時0分
26日の第76回インド共和国記念日を前に、シビ・ジョージ駐日インド大使が本紙に寄稿した。
第76回インド共和国記念日を慶祝するにあたり、天皇皇后両陛下、日本政府の皆様、日本国民の皆様にごあいさつ申し上げる。また、印日特別戦略的グローバルパートナーシップの進展に取り組む在日インド邦人、日本の友人の皆様にもおよろこび申し上げる。
印日両国は、民主主義、自由、法の統治、相互尊重等の価値観、未来のビジョン(展望)を共有している。昨年、印日特別戦略的グローバルパートナーシップは締結10周年を迎えた。この間、印日関係は自由で開放的、包括的、平和で繁栄したインド太平洋地域というビジョンの下、活発で多面的な関係に発展した。戦略的関心も共有し、(日米豪印による)「クアッド(Quad)」といった多国間・複数国間グループでも積極的に協力している。
昨年は、両国の強力な基盤を示すハイレベル交流が盛んに行われた。石破首相の就任直後には、印日首脳会談がラオスで実現し、イタリア先進7か国(G7)首脳会議や米国でクアッド首脳会談の際に、岸田首相(当時)と個別に首脳会談を行った。
印日特別戦略的グローバルパートナーシップ締結から10周年という節目の年に実施された3回の首脳会談は、多領域で二国間協力を強化するという両国の決意と両国関係が、インド太平洋地域の平和と安全、繁栄に不可欠な要素である、という認識を示している。
戦略面では昨年、第16回及び第17回外務相戦略対話を東京とニューデリーで開催した。イタリアG7外相会合においても個別会談を実施した。昨年8月には額賀福志郎衆議院議長もインドを訪問した。
防衛安全保障分野でも合同訓練や交流・共同開発事業を頻繁に実施している。ラオスの東南アジア諸国連合(ASEAN)防衛相会合では印日防衛相会合を行った。ニューデリーでの第3回外務防衛閣僚会合(2プラス2)は、最近調印されたインド海軍への通信アンテナ「ユニコーン」の提供に係る覚書を含む、数々の成果をもたらした。防衛装備品の共同開発・生産は両国初の取り組みであり、防衛協力の新たな扉を開くだろうと確信している。
昨年は「ダルマ・ガーディアン」や「JIMEX24」といった2国間合同訓練、「マラバール」や「タラン・シャクティ」といった多国間訓練も実施され、各軍種間の相互運用性が向上した。海上警備機関も定期的に交流を重ねている。
地政学環境の展望が困難になる中、両国の経済的利益の保護や強靭なサプライチェーン構築を目指す、印日経済安全保障対話を昨年、初開催した。人工知能(AI)や量子計算等の重要技術研究での協力を促進する良い機会となった。
日系半導体企業がインド国内で強力な半導体エコシステムの構築に向け取り組むなど、半導体分野で協力が進んでいる。クリーン水素や、石炭とアンモニアの混焼技術開発でも協力が進められている。
印日関係の要は経済連携だ。2027年までに対印投融資5兆円という目標の達成に向け、大きな進展があったことを嬉しく思う。日系企業がインドでのプレゼンスを増すには、インド経済の回復と活力、改革主導の堅実な成長、ビジネス環境の整備、熟練人材、スタートアップ環境の成長といった要素が不可欠だ。
人的交流は、両国関係の基盤となる。今、両国は人材・人的交流における協力強化に向け協議を重ねています。昨年は「ヒマラヤと富士山をつなぐ」をテーマに「印日観光年2・0」事業を展開、9月には日本で「インド月間」、インドで「日本月間」を開催した。相互交流に関心を示す日本の県やインドの州も多く、昨年は複数の県知事がインドを訪問された。大阪・関西万博への出展が、印日企業の連携と国民交流の更なる強化に繋がると期待している。
昨年は、世界史上最大の民主主義選挙、下院総選挙が行われた。9億人の有権者が投票したこの総選挙は、インド国民の代表制政治への信頼とインドの民主主義体制の強靭性を示した。
インドは独立100周年を迎える2047年までに、すべての人々を豊かにする先進国となることを目指している。日本は、この行程における大切なパートナーだ。私達の協力関係は、安全・安心で持続可能な世界において、今後も強化され繁栄を続けていくだろう。
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