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中国経済減速 本格回復への道筋が見えない

読売新聞 / 2025年1月26日 5時0分

 停滞が続く中国経済の本格的な回復は、なお見通せない。米国のトランプ新大統領が高関税政策を断行すれば、中国が世界経済にとってのリスク要因にもなるだろう。

 中国の2024年の国内総生産(GDP)は、実質で前年比5・0%増となった。前年の5・2%から減速したものの、政府が目標として掲げてきた「5・0%前後」は辛うじて達成した形だ。

 昨年秋に、政府目標の達成が微妙になり、自動車や家電の買い替え促進や金融緩和といった経済対策を相次いで実施したことが、一定の効果をもたらしたようだ。

 だが、内実は楽観できるものではない。関連産業を含め、GDPの4分の1を占める不動産部門の不況が長期化しているためだ。

 マンションなどの不動産開発投資は10・6%減と、3年連続で前年を下回り、新築不動産の販売面積も10%超、減少した。

 中国では家計資産に占める不動産の割合が大きく、市場が低迷すれば消費にも響く。だが、政府は短期的に痛みが生じる不動産問題の抜本的な処理には及び腰だ。

 少子高齢化が急速に進む中、内需の不足でデフレ傾向が強まり、長期に停滞した点で、日本に似てきたとの指摘も増えている。若者を中心として失業率が高止まりし、節約志向も広がっている。

 習近平政権の言論統制の強化などによる閉塞へいそく感も、経済に悪影響を及ぼしているとみられる。

 中国市場の動向は世界経済に大きな影響を及ぼす。日本も警戒感を高めるべきである。

 一方で、中国政府は、こうした苦境を、海外への輸出を増やすことで乗り切ろうとしている。

 中国では国有企業の存在感が大きく、国の影響が強い金融機関も多い。巨額の不公正な補助金などによる支援で、公平な競争が損なわれているとの批判は根強い。

 特に電気自動車(EV)や太陽光パネルといった脱炭素の産業育成に注力し、過剰に生産した製品を輸出に回している。中国の24年の貿易黒字は約150兆円と、過去最高を更新した。これでは各国との軋轢あつれきは強まるばかりだ。

 トランプ新大統領は、貿易赤字を問題視し、中国などに高関税を課す考えを示している。実際に関税を発動すれば、経済に深刻な打撃を与えることは避けられない。内憂外患とも言える状況だ。

 持続的な発展を実現するには、投資や輸出ばかりに頼るのではなく、消費や内需が主導する経済へと転換していく必要があろう。

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