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日銀追加利上げ 丹念に影響を精査してほしい

読売新聞 / 2025年1月26日 5時0分

 日本銀行が追加の利上げを行ったことにより、日本経済は、長く経験したことがなかった金利水準へと入っていく。

 日銀は、家計や企業に与える影響を丹念に点検して、今後の金融政策運営を進めていくことが大切だ。

 日銀は政策金利を0・25%引き上げ、0・50%程度とすることを決めた。昨年7月以来の利上げで約17年ぶりの高い水準となる。

 日本経済は、個人消費に弱さが見られるものの、緩やかな回復が続いている。今春闘では高水準の賃上げが実現する可能性も高まっている。トランプ米政権が20日に発足して以降、金融市場に大きな混乱は見られない。

 このため日銀は、追加利上げの環境が整ったと判断したのだろう。過度な円安に一定の歯止めがかかることも期待できる。

 日銀は、昨年3月にマイナス金利政策を解除し、金融政策の正常化を進めてきた。植田和男総裁は記者会見で、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と述べた。

 だが、多くの人にとって未経験の金利水準になるため、まずは、家計や企業に与える影響を精査していくことが重要になろう。

 住宅ローン金利が上昇すれば、現役世代の負担は重くなる。また、物価高が長引き、実質賃金は安定的なプラスに至っておらず、節約志向は強まっている。消費者心理にさらなる悪影響が及ばないか、分析を深めてもらいたい。

 上場企業の業績は好調だが、原材料高や人手不足に悩む中小企業は少なくない。昨年の企業倒産は11年ぶりに1万件を超えた。資金繰りへの目配りも必要だ。

 物価の分析も深めるべきだ。

 消費者物価指数(生鮮食品を除く)の伸び率は、22年度と23年度に前年度比で2%を超えた。日銀によれば、24年度は2・7%、25年度は2・4%、26年度は2・0%上昇する見通しだ。

 日銀は2%の物価安定目標を掲げている。現在の物価高は輸入物価の上昇による影響が大きく、十分な賃金上昇や経済の好循環を伴っていないとして、目標をまだ達成していないという立場だ。

 しかし、価格の転嫁が広がり、値上げをためらわない企業が増えている。日銀の説明は、これほど長く物価高に苦しむ国民の実感とずれているのではないか。

 政策金利が0・5%を超えていたのは30年前だ。日銀は、経済の変化を踏まえて政策の在り方を整理し、説明を尽くしてほしい。

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