フジテレビ系のテレビ静岡「完全匿名のアンケート調査を実施中」…ＣＭ差し止めは「影響がある」

フジテレビ

　芸能界引退を発表したタレントの中居正広さん（５２）の女性トラブルにフジテレビ社員が関与したと一部週刊誌で報じられた問題は、静岡県内にも波紋を広げている。民放各局はタレントなど関係者と局との間で不適切な事案がなかったか、調査に乗り出している。

　フジテレビの系列局のテレビ静岡は取材に、「完全匿名のアンケート調査を実施中」と答えた。調査の詳細については「回答を差し控える」としている。

　静岡第一テレビは「社員やスタッフに対し、関連規定や相談通報の窓口を改めて周知した」とし、「芸能関係者との関係について社内調査を行う予定だ」としている。静岡朝日テレビも社内調査を実施中で、「関係者へのヒアリングを実施中だが、現時点では同様の問題は見つかっていない」と回答した。静岡放送は「ハラスメントに関わる調査は全社員を対象に毎年実施している。今回の事案を受けての調査については現在、実施に向けて準備中」としている。

　ある県内民放社員は「タレントやスポーツ選手らとの懇談は実態としてある。局がどの程度関与しているかは分からないが、地方局でも起こりうる」と話した。

　スポンサーのＣＭ差し止めの動きも及んでいる。テレビ静岡は「影響がある」としたうえで、「スポンサーに対しては営業担当が随時、当社の立場を説明に回っている」と答えた。

　自動車メーカー・スズキ（浜松市）は２０日から「総合的に判断した結果」として、フジテレビへのＣＭを公益社団法人ＡＣジャパンの広告に差し替えた。テレビ静岡を含む系列局については従来通りＣＭを流しているが、今後については「状況を見ながら検討する」とした。

　はごろもフーズ（静岡市駿河区）も２２日から、フジテレビが制作、放映している番組でのＣＭをＡＣジャパンに切り替えた。３月末まで契約が残っており、期間中の対応は「フジテレビの見解や対応など状況を注視して対応を決めていきたい」としている。

　フジテレビは日本弁護士連合会のガイドライン（指針）に基づく第三者委員会を設置し、事実関係などを調査することを決定。港浩一社長らが２７日に改めてオープンな形式の記者会見を開く予定だ。

　静岡文化芸術大の加藤裕治教授（メディア論）は「フジテレビは問題にきちんと向き合うためにオープンな会見を行うべきだった」とし、「一連の対応に時代錯誤も感じるので、きちんと時間をかけて何が起こったのかを丁寧に調べ、この問題が報じられていってほしい」と指摘した。