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斎藤元彦知事のパワハラ疑惑・贈答品・内部告発への対応…大詰めの兵庫県議会百条委、焦点は3つ

読売新聞 / 2025年1月26日 10時25分

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、県議会の百条委員会の議論が大詰めを迎えている。27日に調査報告書の作成に向けて協議し、2月にもとりまとめる方針。報告書では、「パワハラ」「贈答品」「内部告発への対応」が中心となるが、斎藤氏は昨年8~12月の全3回の証人尋問で疑惑を認めておらず、違法性や問題点がどこまで認定されるかが注目される。

叱責はパワハラか

 告発者の男性職員(昨年7月に死亡)は昨年3月に報道機関などに送付した告発文書で、パワハラ疑惑として主に4件の具体例を挙げた。このうち、「出張先で公用車を降り、20メートル歩かされただけで職員をどなり散らした」などについて、斎藤氏は行為自体は認めたものの、「仕事は厳しくするというのが私のスタイル」などと答弁。「パワハラかどうかは、百条委が判定すること」と評価を避けた。

 これに対し、「20メートル」の件で叱責しっせきを受けた職員は、百条委で「かなり強い調子でどなられた。社会通念上、必要な範囲とは思わない」と証言した。

 ただし、百条委に出頭した多くの職員は、知事の行為はパワハラだと思うかと問われ、「私が判断することではない」などと慎重な答弁をしている。公益通報窓口を所管する県の財務部が昨年12月に公表した調査結果でも、「パワハラがあったとの確証までは得られなかった」とされた。

「社交儀礼の範囲内」

 告発文書では、「高級コーヒーメーカー」「ロードバイク」「(ゴルフの)アイアンセット」などの受領疑惑が指摘された。百条委では、知事が出張先で特産のワインを求めたとする疑惑も含めて審議された。

 このうち、高級コーヒーメーカーは斎藤氏ではなく、原田剛治産業労働部長が受け取り、文書を把握した後に返却していたことが判明。ロードバイクは県とメーカーとの連携協定に基づく貸与で、アイアンはセットではなく1本が知事室に飾られていたとされ、斎藤氏の私的利用は裏付けられなかった。

 斎藤氏はワインやカニなどの食材は受領を認め、「おいしいものが県内にあると知ることも大事な知事の仕事」と答弁。「社交儀礼の範囲内」として問題ないとの認識を示した。

告発への対応は適切か

 県の内部告発への対応は、通報者への不利な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反しないかが焦点となる。

 斎藤氏は昨年3月、文書を把握した直後、部下に告発者捜しを指示。男性職員は4月に県の公益通報制度を利用して通報したが、県は5月、「(文書は)核心的な部分が事実でない」として、他の3件の不適切な行為も含め、男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。

 斎藤氏は百条委で、「事実でないことが書かれており、誹謗ひぼう中傷性の高い文書だと認識していた」として、対応に問題はないとの主張を繰り返した。片山安孝・前副知事は、告発は斎藤氏への「クーデター」で、不正な目的のため保護対象にならないとの主張を展開した。

 一方、百条委に招かれた公益通報制度に詳しい山口利昭弁護士は、自治体は法律で告発者を守る体制作りが義務づけられ、やむを得ない場合を除き、告発者捜しをしてはならないと説明。「真実相当性がないから公益通報に当たらない、との理屈は通らない」「不正の目的があったかの立証責任は、事業者(県)側にある」と指摘した。

 告発者捜しについては、百条委に招致された他の2人の識者も問題視した。

不信任案の再提出は「難しい」

 百条委は今後、各会派の議論を踏まえ、早ければ2月中に調査報告書をとりまとめる予定だ。

 パワハラ疑惑については、「十分に認定できる」などと自信を見せる県議がいる一方、別の県議は「百条委の審議では核心を突けなかった」と話す。

 告発者捜しは、百条委に招致された専門家は問題視したが、斎藤氏に近い県議から異論が出る可能性もあり、会派間の足並みが乱れることもあり得る。

 報告書で違法性などを認定したとしても、各会派は問責決議案の提出や不信任決議案の再提出には慎重だ。県議会は昨年9月に斎藤氏に全会一致で不信任決議を突きつけ、斎藤氏は失職後の県知事選で再選されたためだ。ある県議は「民意を得て再選している以上、(不信任などは)難しい」と語る。

 問題を巡っては、元裁判官ら6人の弁護士でつくる第三者委員会も別に調査しており、3月に結果を公表する見通し。

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