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1歳の子を育てながらの転職活動、うまくいく? 転職の専門家が解説...新たな出会いの絶好の機会

J-CASTニュース / 2025年1月26日 14時0分

1歳の子を育てながらの転職活動、うまくいく? 転職の専門家が解説...新たな出会いの絶好の機会

子育てしながらの転職活動の実態は

育児・介護・趣味の活動などと仕事を両立させ、「理想のワークライフバランスを実現したい」と考えて転職を検討する人が増えています。

前回は、小学校低学年の子どもを育てながら、契約社員から正社員への転職を果たした女性の事例を紹介しました。

今回は、ワークライフバランスを重視した働き方を目指す人の転職活動のポイントについて、リクルートエージェントでキャリアアドバイザーをつとめる松原大悟が解説します。育休からの復職直前に転職した女性の事例も参考にしてください。

転職活動で欠かせないのは、「強み」「価値観」の棚卸し

前回(育児しながら正社員への転職はムリですか? 転職の専門家が解説...柔軟な働き方ができる今、チャンスは多い)は、小学校低学年の子どもを育てているシングルマザー・Aさん(30代)が、勤務時間に制約がありながらも契約社員から正社員への転職を果たした事例を紹介しました。あらためて、Aさんが希望の転職に至ったポイントをまとめてみましょう。

●これまで仕事で頑張ってきたこと、身に付けたスキルを「棚卸し」し、面接で伝えた
●資格の勉強をしてきたエピソードを交え、向上心をアピールした
●転職理由・志望動機を整理して言語化し、面接の場で話せるように練習した
●企業研究をしっかり行い意欲を伝えた

私が感じたAさんのすごみは、仕事・家事・子育てと転職活動を並行して頑張りきったこと。子どもが寝たあとに企業研究をしたり、仕事や家事のない早朝の時間を確保し何度も面接のシミュレーションをしたりしていました。面接当日も直前まで、その会社の近くのカフェで練習をしていたそうです。

昨今、人材採用競争が激しくなっています。企業は求職者に魅力を感じてもらえるように、働きやすい制度・仕組み・環境作りに取り組んでいます。

しかし、それだけを目当てに応募し、「リモートワークができるのでこの会社を志望した」と話すだけの人よりも、「この会社で経験・スキルを生かし、さらに成長したい」という意欲がある人を迎えたいと考えています。

そこで、これまでの経験から自身の「強み」を明確化し、その強みを生かして応募企業にどのように貢献できるかをしっかり伝えることが大切です。

もっとも、必ずしも専門性が高いことだけがアピールポイントになるわけではありません。

「仕事において日々どのような工夫していたか」「壁にぶつかったときにどのように乗り越えたか」といった経験は、どのような業種・職種でも評価されるものです。そうして身に付けたスキルは「ポータブルスキル(業種・職種問わず持ち運びできるスキル)」と呼ばれます。

このポータブルスキルは仕事に限らず、家事・育児の場面でも培われており、ビジネスシーンでも活用できます。以下を参考にしてみてください。

また、選考にのぞむにあたっては、強みとする経験・スキルを整理するほか、「私は仕事において何を大切にしたいのか」という価値観を見つめ直し、言語化しておくことをおススメめします。

仮に、経験・スキルが高く評価され、希望の働き方がかなったとしても、価値観にギャップがある企業では長く働き続けるのは難しいかもしれません。

企業が掲げる「理念」「ミッション・ビジョン・バリュー」「パーパス(企業の存在意義)」といったものに共感できるかどうか......という視点で企業を検討してみるという選択肢もあります。企業側も、選考において「価値観の一致」を重視するケースは少なくないのです。

ロールモデルに出会うことで、キャリアのイメージを描ける

人手不足が深刻化している今、企業は「多様な人材の活躍」を目指すようになり、育児中の女性も活躍できる制度・環境を整備しています。

また、2015年に施行された「女性活躍推進法」やSDGsの目標の一つである「ジェンダー平等を実現しよう」への取り組みを背景に、女性管理職比率の向上にも力を入れています。

新たに管理職ポジションに就く女性となると、多くは30代~40代で、子育て世代が多い傾向にあります。しかも企業は、育児とマネジメントを両立できる働き方を支援しており、女性管理職の数が増えています。

そうした女性管理職は、育児をしながら働く部下の状況や気持ちを理解でき、部下にとっては「こういうふうに働けばいいんだ」というお手本になるともいえます。

育休中に転職活動を行い、「ロールモデル」になる女性に出会ったBさん(30代)の事例を紹介しましょう。

正社員の広報職として働くBさんは、育児休暇中に転職活動を始めました。職場復帰が近づくなかで、今後の自身のキャリアに不安を抱いたからです。社内を見渡しても、育児をしながら希望の職種で活躍している女性は見当たりません。今の会社でこの先もキャリアを築いていけるイメージを持てなかったのでした。

育児中は、保育園への送迎などで働く時間に制約が生じることが想定されます。契約社員・派遣社員という選択肢も検討しましたが、裁量権を持って責任ある仕事を担い、スキルアップしていきたいと考えたBさんは、そのチャンスが多いと思われる正社員にこだわっていました。

そこで、リモートワークやフレックスなどの制度を利用して育児とキャリア構築を両立できる環境に移りたいと考えました。1歳の子どもがいても正社員としての転職が可能なのか、不安を抱きながら転職活動でした。

結果的に、Bさんは外資系商社に広報の正社員として転職を果たしました。入社決意の決め手となったのは、フルリモートワークが可能であることに加え、上長となる女性も自分と同じくらいの年齢の子どもを育てながら活躍していることです。

転職活動を通じて「ロールモデル」となる人に出会えたことで、子どもを育てながらキャリアを積んでいくイメージを描けたのでした。

転職活動は、今の職場にはいないような人に出会える機会もあります。

さまざまな企業を見て、さまざまな人と話すなかで、自身がロールモデルとしたい働き方や人が見つかるかもしれません。エージェントを使ってご自身のスキルを可視化したことで、当初想定していなかったような選択肢に出会うこともあります。最終的に転職する・しないにかかわらず、少しでも気になることがあれば転職活動をしてみることで視野を広げ、新たな可能性を探ってみてはいかがでしょうか。



【プロフィール】
キャリアアドバイザー 松原大悟

地方公務員として児童福祉業務にて経験を積み、2023年にリクルートに入社。キャリアアドバイザーとして、さまざまな業界・職種の求職者の転職を支援。求職者の方にとって納得感のある転職活動ができるよう支援をすることにこだわりを持つ。

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