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米経済政策 トランプ関税の自制求めたい

読売新聞 / 2025年1月27日 5時0分

 「米国第一」主義を掲げるトランプ米政権の保護主義的な関税政策は、世界経済に大きな悪影響を及ぼす。熟慮による自制を求めたい。

 トランプ大統領は貿易赤字を問題視し、国内製造業の保護を狙いに、世界からの輸入品に一律10~20%の関税、中国に60%の追加関税をかける考えを示してきた。

 就任初日の20日は関税の発動を見送ったものの、慢性的な貿易赤字や不公正な通商慣行、通貨操作などについて、4月1日までに包括的な検討を行うよう指示した。分析結果を踏まえて、関税発動に踏み切る考えだとみられる。

 だが、高関税は貿易の縮小を招き世界経済に打撃を与える。報復関税の応酬で貿易戦争に発展すれば深刻な事態になろう。米国の物価高を助長する可能性も高い。

 トランプ氏は、ジレンマを抱えているはずだ。関税策は、短期的には製造業の労働者にアピールできるかもしれないが、高いインフレを招けば、逆に米国社会全体の不満が高まるだろう。

 まだ2か月以上の猶予がある。何が真の国益となるのかを考えて行動すべきだ。日本など主要国が、粘り強く自制するように働きかけていくことも大切になる。

 関税政策は、貿易不均衡の改善や税収増だけでなく、別の目的を達成するためのディール(取引)の道具という見方も強い。

 メキシコとカナダに25%の関税、中国には10%の追加関税を2月1日からかけることに強い意欲を示しているのは、その例だ。

 トランプ氏は、中国で原料が製造された合成麻薬が国境を越えて流入していることや不法移民を問題視し、是正を迫っている。

 カナダとメキシコには、日本だけでなく米国を含め、自動車産業などの生産拠点があり、高度なサプライチェーン(供給網)が構築されている。是正策を巡る交渉が進まずに、関税が発動されれば大きな混乱に陥ることは必至だ。

 カナダとメキシコは、関税回避に向けて、打開策を探ってほしい。打撃を受ける日本も米国側に懸念を伝えていってもらいたい。

 一方、国家エネルギー非常事態を宣言し、石油・天然ガスの掘削禁止措置や自動車排ガス規制などを次々と撤回した。電気自動車(EV)への税制支援策の廃止も目指すという。日本としても影響を精査することが重要になる。

 エネルギーは日本が協力できる分野だ。米国が増産する液化天然ガス(LNG)を輸入すれば互いに発展できるのではないか。

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