停戦1週間のガザ、散発的銃撃でなお犠牲者…北部への検問所に数万人「テント生活に疲れ果てた」
読売新聞 / 2025年1月27日 8時57分
【エルサレム=福島利之】パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム主義組織ハマスの停戦は、26日で1週間を迎えた。双方が合意した人質の解放は順次進んでいるが、散発的な銃撃は続き、避難民のガザ北部への帰還も許されていない。物資を載せたトラックは続々とガザに入っているが、復興への道筋はまだ見えていない。
停戦発効の翌日の20日朝、ガザ南部ハンユニスから最南部ラファの自宅に戻ったホッサム・ハッスーンさん(18)は、自宅近くで駐留を続けていたイスラエル軍が発砲した銃弾を受けて死亡した。一緒にいた兄アハマドさん(21)は、「弟はなぜ、停戦下に死ななくてはいけないのか」と読売新聞通信員を前に泣き崩れた。
イスラエル軍は25日、ガザ中部で、「脅威となった」として群衆に発砲したと発表した。26日には、ガザ中部で1人が同軍による銃撃を受け、死亡した。
一方、ハマスは25日の人質解放の際には、戦闘員が隊列を組んで群衆を整理し、組織の健在ぶりを内外に見せつけた。ハマスは24日、イスラエル軍を攻撃する8分間の映像を公開し、抗戦を続ける構えを示している。
停戦の第1段階では、ガザ北部から南部などに避難していた約100万人の住民の帰還も認められた。読売新聞通信員によると、ガザを南北に分断する「ネツァリム回廊」の南側には数万人が押し寄せ、検問所が開くのを待っている。
南部ハンユニスに避難していた北部ジャバリヤ出身のモフセン・サレハさん(65)は、家族15人と25日朝から回廊近くに待機している。サレハさんは「自宅は破壊され、家族に犠牲者も出たが、故郷に帰りたい。テント生活には疲れ果てた」と話した。
ハマスは23日、ガザ北部の住民の帰還が25日にも始まると発表したが、イスラエル軍は26日、民間人の女性人質が解放されるまで回廊の検問所を開けない方針を示した。
トラック次々
19日の停戦発効後、食料などの物資を積んだトラックはガザに次々と入る。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、24日はトラック339台が入り、停戦から6日間で4200台を超えた。
ただ、恒久停戦をうたう停戦の第2段階に至るかは現時点ではまだ不透明で、ガザの復興はさらにその先だ。国連援助関係者は「国際社会が復興を協議する段階にはまだなっていない」と指摘する。
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