小5の息子殺された父親、心情等伝達制度で受刑中の男の本心探る…「一歩前に進める気がする」
読売新聞 / 2025年1月27日 15時37分
和歌山県紀の川市で2015年2月、小学5年の森田
都史君は15年2月5日夕、自宅近くの空き地で、頭や胸など10か所以上を刃物で切りつけられて亡くなった。2日後、近所に住む中村
悦雄さんは被害者参加制度を利用し、全ての公判に出席。中村受刑者は和歌山地裁の被告人質問で、弁護人から遺族への思いを問われ、小さな声で「大変申しわけなく思っています」と述べたが、それ以上の言葉はなかった。
悦雄さんは「どう考えているのか、詳しく知りたい」ともやもやした気持ちを抱えていた昨春、心情等伝達制度を知った。中村受刑者と向き合うことで「一歩前に進める気がする」と制度の利用を決意した。
昨年9月、和歌山刑務所で中村受刑者の収容先の職員と面会。「都史が着ていた服は、ずたずたに穴が開いていた。『なんでそこまでするのか』と今でも悔しくて悔しくて仕方がない」「鬼畜生だと思った」と率直な思いを伝えた。
約20日後、収容先の刑務所から手紙が届いた。悦雄さんの気持ちを伝えられた中村受刑者から職員が聞き取った言葉が記されていた。事件を起こした2月5日が来る度、「とんでもない事をしたと後悔や悲しい気持ちになる」「被害者に手を合わせています。すみませんでした」とあり、「(悦雄さんへの)謝罪の手紙を書いて、親に送ります」と約束していた。
悦雄さんは予想外の謝罪に驚き、救われた気持ちになった。だが、謝罪の手紙は一向に届かない。「本心なのか」と疑念を抱くようになった。
今年1月23日、再び収容先の職員に会い、中村受刑者に謝罪の意思があるかどうかを尋ねるよう求めた。「本心を知ることができるまで何回でも制度を利用して、私の思いを伝えていく」。悦雄さんはそう決めている。
事件発生からまもなく10年、都史君の遺骨は今も自宅にあり、納骨できないままだ。「何年
都史君の同級生たちは昨年、成人の日の式典に参加した。生きていれば一緒に出席していたはずだった。「キムチや明太子が好きだった都史はお酒も強かったんやろうね。一緒に飲みながら朝まで語り合いたかったなあ」。悦雄さんは遺影に手を合わせた。
◆心情等伝達制度=刑務所や少年院の職員が、犯罪被害者本人や遺族の心情を聞き取り、加害者に伝える制度。2007年に始まり、仮釈放で保護観察中の出所者らを伝達対象としていたが、23年12月、受刑者らに対しても利用できるようになった。
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