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自分で小説を書き、その話を舞台で演じてみたい……南沢奈央さん膨らむ夢

読売新聞 / 2025年1月31日 15時15分

『朝、空が見えます』東直子著(ナナロク社) 1870円

 女優の仕事を続けるうち、読書の幅は絵本から小説、そしてノンフィクションへと広がってきた。「ちょっと気になった本があればすぐに買って読む。純粋な好奇心を大切にしています」。書店に行き、新刊コーナーで知らない著者の本を手に取る喜びは何物にも代えがたい。

 読売新聞の読書委員を務めた経験も大きかった。「自分の知らない世界にこんな面白い本があるんだ!という新鮮な驚き。世の中のいろんなことが自分の中でつながっていく実感を得られた」

 もう一つ、読書を通して得られるものがある。「心の豊かさ」だ。それを教えてくれたのが、ごく最近出会った歌人で作家の東直子さんの詩集『朝、空が見えます』。1年間、毎朝起きて眺めた空の様子をつづった短い言葉がまとめられている。忙しい日常からは感じ取れない光景がそこにはあった。

 <生まれたての太陽がまぶしいです>

 <波打ち際のような空です>

 <粗びき()(しょう)のような雨が降ってきました>

 「いつもと変わらない朝でも<天使のため息のような雲が見えます>と書くだけで、何かとても素敵に見えてくる。こんなふうに世界を見ることができれば、どんなに豊かになれるだろう、と」

 コロナ禍で仕事がなかった頃、普段気にとめていなかった日々の小さな出来事に目が向いていたことを思い出した。刻々と移り変わる空のように、人生に一日として同じ日はない。「生きていることの素晴らしさを実感できるような心の余裕を持ちたい」。せわしない日々を豊かな気持ちで過ごすためのとっておきの一冊に加わった。

 書物たちとの出会いを通して、最近、自分でも小説を書きたいという気持ちが再び強まっている。「自分でない誰かを想像し、その人を主人公に物語を紡いでみたい。恋愛小説? そうなるかもしれないし、猫と会話するファンタジーかもしれない。その話を舞台化して自分で演じるのが夢です」

 書物によって育まれた感性と想像力が新たな物語を生み、自分の世界を表現する究極の方法に挑む道筋がいよいよ見えてきた。(松本良一、おわり)

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