粗大ごみをメルカリで販売「アッという間に売れた」掘り出し物も…三島市が四冠

棚やベビーカー、スノーボードなどが並ぶ三島市の出品画面（三島市提供）

　市民から出される粗大ごみなどの減量策の一つとして、静岡県三島市がフリーマーケットアプリ「メルカリ」を活用して販売を始めたところ、昨年１年間の販売数など４部門で全国１位になった。メルカリ内の「メルカリＳｈｏｐｓ」を利用する全国５０自治体でのランキングで、市では「市民のごみ減量への関心を高めてくれる」と喜んでいる。（安江清彦）

　市が発表した。メルカリＳｈｏｐｓには名古屋市や岡山市、福井市などの政令市や県庁所在市も参加している中、三島市は昨年の販売数（１０６９品）、販売額（１４６万円）、フォロワー数（６５１０人）、いいね数（２７３５）の４部門で首位になった。

　市廃棄物対策課によると、メルカリの活用は２０２３年９月からで、「家具など利用可能な粗大ごみの減量と市民のリユース意識向上を目指すため」（豊岡武士市長）にスタートした。同市ではごみの最終処分場がほぼ満杯になり、焼却した灰を県外の業者に代金を支払って引き取ってもらっているのが現状だ。

　メルカリでの販売は、同課業務係の山添豊さん（３３）ら２人が担当し、持ち込まれた粗大ごみの中からリユース可能品を選び、洗浄、写真撮影などをした後、出品ページに写真や情報をアップしている。

　売れ筋は子供用おもちゃやカラーボックスなどの家具で、山添さんは「販売が目的ではなく、価格を低く抑えているのが売れる秘密では」と話す。ただ、時に楽器などいい値段で売れるものもあり、「臼とキネの餅つきセットは２万円でも売れて驚いた」と振り返る。

　中には思わぬ掘り出し物もあった。油圧式のまき割り器や有名木工所製の高級座椅子（２脚）で、いずれも数万円するものだったが、「１万円で出したら、アッという間に売れた」（山添さん）という。

　同市の２３年度のごみ収集量は約３万トン。これに対して全国１位になったとはいえ、昨年、メルカリで売れた粗大ごみ量は約１０トンだった。豊岡市長は「確かに微量ではあるが、市民のごみへの意識を転換させる意義は大きい」とし、この取り組みをどんどんアピールしたいとしている。

リユース品販売徐々に広がる

　捨てられたごみのうち、使えるものをリユース品として販売する取り組みは徐々に広がっている。

　掛川市と菊川市の廃棄物処理施設「環境資源ギャラリー」を運営する衛生施設組合も、２３年１０月からメルカリを使った粗大ごみの販売を実施。２４年度はゴルフ用具やベビーカーなど５３９点を出品し、４９８点を販売した。販売額は２９万４５００円だった。

　同施設は建て替え予定のため今年４月からは一般廃棄物の全量を外部搬出する計画で、委託処理費用の抑制にも役立つとしている。同組合では「メルカリなどの活用はごみ減量や市民の環境意識の醸成につながる」としている。