「アウシュビッツ二世」欧州の急伸右派や元ナチス党員系政党の伸張に「ゾッとする」
読売新聞 / 2025年1月28日 22時10分
記憶の継承が課題となる中、生存者の子供たちは語り手としてバトンを受け継いでいる。その一人、マヤ・ラスカーウォルフィッシュさん(66)が22日、ドイツ・ベルリンで記者団の取材に応じた。偽情報の氾濫や欧州の右傾化に懸念を示した上で、過去を学び、後世に伝える重要性を強調した。
マヤさんの母・アニタさん(99)は現在のポーランド・ブロツワフ出身で、1943年にアウシュビッツ強制収容所に移送された。収容所のオーケストラ団員に選ばれ、ガス室行きを免れた。マヤさんは高齢で証言が困難となった母に代わり講演活動などを行っている。
ドイツ国民は学校でホロコーストを学び、負の歴史と向き合う。一方、世代交代が進み、ホロコーストに関わりのない移民も急増しており、共通の「罪の意識」が薄れていると指摘される。マヤさんは「若者には過去の出来事を正しく理解し、自分の子供に伝えていく責任がある」と強調する。
ドイツで移民排斥を訴える急進右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は世論調査で支持率2位につけ、オーストリアで元ナチス党員らが設立した極右政党・自由党は昨年の総選挙で第1党となった。マヤさんは「ゾッとする。一度起きたことはまた起きる」と危機感を強め、過ちを繰り返さないように「世界で起きていることを注視しなければならない」と訴えた。
米ユダヤ人団体が23日に公表した調査結果によると、ホロコーストという言葉を知らない18~29歳はフランスで46%、ドイツでも12%に及んでいる。(ベルリン支局 工藤彩香)
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