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山梨・北杜市の廃校に宇宙ごみ監視基地設置へ…東京のベンチャー企業、晴天多く宇宙監視にもってこいの条件

読売新聞 / 2025年1月29日 8時14分

宇宙ごみの監視基地が設置される旧小学校グラウンド(22日、北杜市で)

 避暑地として知られる山梨県北杜市清里地区の廃校になった小学校敷地に今春、宇宙ごみを監視する民間基地が設置されることがわかった。役目を終えた人工衛星の残骸などが運用中の衛星に衝突して破壊される事故が相次いでおり、国際的に対策が急務になっている。標高約1200メートルで晴天が多い同地区が宇宙監視に適しているといい、地元では地域振興の起爆剤としても期待されている。(河合正人)

 地元関係者らによると、計画されているのは「宇宙状況監視オープンイノベーションセンター」(仮称)。宇宙空間の解析事業などを展開するベンチャー「エルサステック」(東京)が、廃校となった旧高根清里小校庭の一角に、光学天体望遠鏡を格納した直径約3メートルのドーム型施設を造る。

 同社が遠隔操作し、宇宙ごみなどの状況を監視したデータを宇宙航空研究開発機構(JAXA)や、宇宙関連企業などに提供し、衝突回避や除去などの対策に役立ててもらう。

 国際宇宙ステーションや地球観測衛星などが活動している低軌道(高度2000キロ・メートル以下)では、宇宙ごみが衝突した場合、機体を破壊する可能性があるという。

 内閣府によると、国内の主な宇宙ごみの観測施設は、いずれも岡山県にあるJAXAの「美星スペースガードセンター」や「上斎原スペースガードセンター」、山口県山陽小野田市の防衛省施設があるほか、民間の施設もあるという。

 エルサステックは既に地元住民への説明を終えており、関係者によると、2月にも廃校を所有する北杜市などと基本協定を結んだ上で、基地の建設に着手する予定。同社は「清里は空の視界が広がっており、条件に合致したため、施設の設置場所に選んだ。北杜市などと詳細を詰めたい」としている。

 清里地区は1970年代以降、牧場やメルヘン調の建物などから「高原の原宿」と称され、若者らでにぎわう観光地となったが、バブル崩壊で衰退。現在は閉店した建物が並ぶシャッター通りとなっており、基地ができれば、観光客や学習目的の子どもたちが多く訪れることも想定される。

 監視基地設置の話を聞いた清里観光振興会の舩木良会長(66)は「宇宙ごみ対策という時代を象徴する施設の場所として清里が選ばれたことにわくわくする。この事業が定着し、宇宙や空を学ぶ人たちが集まるようになってほしい」と期待を込める。

 ◆宇宙ごみ=稼働を終えた人工衛星や、ロケットの残骸、機体からの放出部品など。国立国会図書館の調査リポートによると、2021年時点の推計で、地球周回軌道には直径10センチ以上の宇宙ごみ約3万6500個が漂流しているとされている。除去については、JAXAが民間企業と連携し、2027年度以降の実証実験成功を目指している。

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