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公正証書の不審な作成依頼、全国の公証人に連合会が注意喚起…「信頼性のある書類など確認を」

読売新聞 / 2025年1月29日 5時0分

全国の公証人に公正証書の不正利用防止のために出された注意喚起の内容

 犯罪の被害回復のために凍結された口座から資金を引き出すために公正証書が不正に利用されている疑いがあるとして、日本公証人連合会(東京)が今月、全国の公証人に注意を促す文書を出していたことがわかった。東京都内の公証役場に公正証書の不審な作成依頼があったなどとし、慎重に事実確認を行うよう求めている。

 公正証書は、当事者間で金銭の貸し借りなどがあることを公的に証明する文書。法相から任命された公証人が個人や会社からの依頼を受け、公証役場において当事者の面前で内容を確認して作成する。判決と同様の効力を持ち、公正証書を根拠に口座や不動産を差し押さえて回収を図る強制執行を申し立てることができる。

 関係者によると、都内の公証役場に、契約関係にあるという二つの会社の間で「借り入れなどの債務を弁済する」「弁済がなければ強制執行を可能とする」という内容の公正証書を作成するよう依頼があった。何度も依頼してきたことを不審に思った公証人が昨年11月下旬、内容を裏付ける資料の提示を促したところ、「準備する」といったまま、連絡が途絶えたという。

 こうした状況を踏まえ、同連合会は今月15日付で、全国約500人の公証人に宛てて文書を出した。詐欺グループが凍結口座から犯罪収益を確保するために、公正証書を悪用して強制執行を図ることが考えられると指摘。公正証書に記載する金銭の貸借額について、根拠が不明確だったり不当に高額だったりするなど不審な点がある場合は、信頼性のある書類の有無などを慎重に確認するよう促した。

 凍結口座を巡っては、都内のコンサルティング会社が虚偽の内容の公正証書に基づいて強制執行をかけたとして、被害者側が同社を提訴していたことを読売新聞が今月に報道した。

 過去には、詐欺グループが凍結口座に入った詐取金を回収するため、公証人に虚偽の公正証書を作らせたケースも確認されている。同連合会は「公正証書が不正の目的で利用された例があるとすれば遺憾。注意喚起したい」としている。

 ◆公証人=法律実務の経験が豊富な者として法相が任命する公務員で、全国約300か所の公証役場に約500人いる。中立的な立場から、金銭の貸し借りや土地・建物の売買、遺言などの公正証書を作成する。裁判官、検察官、弁護士の「法曹資格者」のほか、裁判所職員や司法書士などから公募で選ばれる。裁判官や検察官の経験者が多くを占めている。

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