与野党、旧安倍派会計責任者の参考人招致で対立…予算案の実質審議ずれ込みも
読売新聞 / 2025年1月29日 7時24分
与野党は28日、自民党派閥の政治資金規正法違反事件に絡み、自民旧安倍派の会計責任者の衆院予算委員会への参考人招致を巡って断続的に協議したが、折り合わなかった。政府・与党が目指す2025年度予算案の30日からの実質審議入りがずれ込む可能性も出ている。
「残念ながら与野党の合意が得られず、予算委員会は明日からスタートできなくなった」
安住淳・衆院予算委員長は28日の予算委理事懇談会後、記者団にこう述べ、29日の衆院予算委を開かない考えを明らかにした。
28日の理事懇で、野党側が自民に対し、会計責任者の参考人招致に賛成するよう求めたが、自民は応じなかった。自民は「司法で判決が確定したことに立法府が立ち入るべきではない」などの理由で反対している。
政府・与党は当初、29日に衆院予算委を開き、25年度予算案について趣旨説明を行い、30日から実質審議入りする日程を描いていた。与野党は29日に再協議し、自民は30日に趣旨説明後、続けて審議入りする日程を提案するが、野党が応じずに日程がずれ込めば、審議日程に影響が出る。
野党が求める参考人招致も実現のメドは立っていない。
参考人招致は全会一致での議決が慣例だ。事前に与野党の調整がつかず、多数決で招致が決まった例は限られる。衆院予算委の直近の例では、1974年3月の通常国会で第1次石油危機を機に物価が急騰した「狂乱物価」問題を巡り、石油会社社長らの招致を採決した時まで遡る。
さらに、安住氏の提案で委員会で採決が行われ、野党などの賛成多数で議決されても、出席はあくまで参考人の任意だ。すでに会計責任者は招致に応じない意向を自民に伝えている。
野党には、夏の参院選まで追及を続け、自民を議席減に追い込む思惑があるが予算案は国民生活に直結するため、立民内からは「政権担当能力に疑問符が付くような徹底抗戦は避けるべきだ」との声も出ている。
参考人招致を巡っては、与党内で足並みが乱れている。自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長は28日、東京都内で会談し、両党は参考人招致の採決に持ち込むこと自体には反対する方針を確認したが、公明は採決が行われた場合には賛成する方針を伝えた。
自民の「政治とカネ」の問題に対する厳しい姿勢をアピールする必要性に迫られたとの見方もある。公明の佐藤英道国対委員長は会談後、記者団に「(問題の)全容解明の観点から賛成する」と述べた。
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