高額療養見直し 負担増への理解をどう広げる
読売新聞 / 2025年1月29日 5時0分
高齢化が進み、国全体の医療費は膨らむ一方となっている。財政が
政府が「高額療養費制度」の政令を見直し、患者の自己負担額の上限を引き上げることを決めた。改定は10年ぶりだ。
この制度は、入院などで多額の医療費がかかった場合に患者の自己負担を低く抑える仕組みだ。年収に応じて毎月の自己負担額に上限を定め、上限を超えた分を医療保険財政で賄っている。
例えば年収370万~770万円の現役世代が、がんを患って月200万円の医療を受けた際には、3割負担の原則を当てはめれば自己負担は60万円となる。しかしこの制度のおかげで、実際に支払う額は10万円程度ですむ。
医療が高度化し、がんや心臓病など重い病であっても効果的な新しい治療法が開発されている。一方で、複雑な手術や最新の投薬治療に1000万円を超える医療費がかかることも珍しくはない。
高額療養費を含む医療費は、2013年度に40兆円を突破し、その後も増加傾向にある。現状を放置していたら医療保険財政が悪化し、医療費への税金の投入も
政府は具体的な改革として、全ての所得層を対象に、自己負担の上限を今年8月から27年8月にかけて段階的に引き上げていく方針だ。年収370万~770万円の場合、今年は自己負担の上限額が10%増となる。
ただ2年後には、年収によって自己負担の上限額が50%増や70%増となる人もいる。
厚生労働省の審議会は昨年、どの所得層でも引き上げ幅を5~15%とする方向で議論していたが、年末に厚労相と財務相が協議し、一定の所得のある人には負担を積み増すことを決めた。
経済力のある層に重い負担を求める「応能負担」は、税や社会保障の原則だ。とはいえ「70%増」もの引き上げについて、十分な議論が行われたとは言えない。
自己負担額の見直しは政令を改めれば可能なため、政府には、法改正に伴う国会での説明義務は生じない。だが、これだけの負担増を求めるのなら、制度の課題や負担増の必要性を丁寧に説き、国民の理解を求めていくべきだ。
今国会では、5年に1度の年金改革も予定されている。年金、医療、介護の社会保障全体を持続可能なものとするには、消費増税の議論も避けてはならない。
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