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手つかずで残るがれきや廃虚と化した建物、生活再建へ歩み始めた市民…レバノン南部ルポ

読売新聞 / 2025年1月29日 9時40分

 イスラエルとイスラム教シーア派組織ヒズボラの停戦が延長されたレバノン南部の主要都市ナバティエに27日、記者が入った。イスラエル軍の攻撃で廃虚と化した建物やがれきがあちこちに残る中、市民らは停戦の継続を願い、街の再建に向けて歩み始めていた。一方でイスラエル軍がレバノンに駐留し続けるなら「また戦うべきだ」との声も聞かれた。(ナバティエ 田尾茂樹、写真も)

 「家も店も失った。元の暮らしを取り戻すのに何年かかるのか」。父の代から70年以上続く貴金属・時計店を営むラエド・モカレドさん(59)は、こう嘆いた。

 人口の大半がヒズボラと同じシーア派のナバティエでは昨年9月下旬に激しい攻撃が始まった。10月には市庁舎も空爆を受け、市長が死亡した。

 中心街にあったモカレドさんの5階建て店舗は10月半ばの空爆で崩壊し、800点超の商品は全て焼けた。11月初めには自宅も破壊された。一家5人は9月下旬に首都ベイルートへ避難していて無事だったが、損害は大きい。

 11月27日に停戦が実現した翌日、ナバティエの街に戻った。「街を元気づけるため一日も早く店を開けたかった」。旧店舗近くの小さなビルを借り、知人らから借金をして商品を仕入れた。帰還してから10日ほどで開店にこぎつけた。

 早期復興のために停戦が続いてほしいと願うが、イスラエルは全く信用できないという。停戦は2月18日まで延長されたが、「撤退期限を守らずに駐留を続けるなら、戦わなければならない」と言い切った。

 ハッサン・サブリさん(37)は、父と経営するガソリンスタンドや自宅が10月半ばの空爆で破壊された。「イスラエルは敵だ。レバノンを占領し続けるなら、また戦争になるのもやむを得ない」と語気を強めた。

 停戦が始まった11月27日に避難先のベイルートから戻り、約1か月後には借金で最低限の設備を整えて店を再開した。「平穏が続いてほしい」と思う反面、「レバノン軍は戦いに備え、もっと強くなるべきだ」とも訴えた。街には、がれきや壊れた建物がほとんど手つかずの状態で残る。経済危機の影響で自宅を破壊された市民の多くは再建のめどが立たず、住民の3割程度は街に戻っていないという。

 保険代理業リマ・ヤヒヤさん(50)も別居していた母の家が破壊された。今は被害を免れたヤヒヤさんの自宅で共に暮らす。「このままでは街の復興に10年かかる」と将来を案じている。

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