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撮り鉄注目、ラッピング電車の街・大津…広告制限なく京阪石山坂本線では3分の2がラッピング

読売新聞 / 2025年1月29日 15時26分

 大津市はラッピング電車がよく走る街だ。京阪電車石山坂本線では、近江牛や大学、アニメまで多種多様な車両を写真に収めようとする鉄道ファンの姿が絶えない。なぜ、こんなに走っているのか。調べてみた。(林華代)

 石山坂本線では1月現在、15列車のうち3分の2がラッピングされている。一方、びわ湖浜大津駅から京都市内に向かう京阪京津線には1列車もない。

 その背景には、「京都らしい広告の景観」を重んじる京都市屋外広告物等に関する条例の影響もあるという。京都市条例に基づく許可基準や基本事項には▽(広告を)窓に表示しない▽文字やイラストなどの要素はできるだけ最小限に▽複数の色を用いる場合は、色数が多く見えないような工夫を――など制約が多い。

 大津市と隣接する京都市山科区にある京都橘大は、昨年7月から大学をPRするラッピング電車を運行。白地に赤、オレンジ、青色のメガホンが張り巡らされたカラフルな車体が目を引く。

 広報担当者は「在校生、志願者が一番多いのが滋賀。学祖も日野町出身で、滋賀は大切な土地」と狙いを明かす。今秋に開催される国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会を応援する思いも込めたといい、2021年に新設した人工知能(AI)について学べる工学部などを知ってもらいたいと、ラッピングには「滋賀のみんなに、知ってホシーノ!!」というメッセージも添えている。

 佛教大(京都市北区)も、生涯学習の「オープンラーニングセンター」を周知しようと、昨年11月からラッピング電車を走らせる。担当者は「隣町なのに滋賀の受講生が少なかった。停車中はゆっくり見てもらえるし、広告効果はあるのでは」と期待する。

 また、滋賀県らしい近江牛の列車も昨年7月末から運行している。大津市唐橋町の近江牛レストランなどを運営する明治創業の老舗「松喜屋」は、近江牛サーロインの塊肉や、創業当時のメンバーの写真をプリント。「地元の誇り、日本最古のブランド牛『近江牛』」とPRする。「お客様は半径20キロ圏内の方が多く、店舗は京阪沿線にあるので電車を運行した」と同社。地元の人からは「すごいね」などと反響があるという。

 ほかにも、びわ湖大津観光協会が小説「成瀬は天下を取りにいく」バージョンを運行。京阪電鉄などが旅客誘致の取り組みとして、京都アニメーションが手がける作品「響け!ユーフォニアム」2種類をはじめ、「きかんしゃトーマス号」「比叡山・びわ湖統一デザイン」など計6種類を走らせている。

 大津市内でのラッピング電車の歴史は古く、資料で確認できた中では、1997年に市外局番の変更を知らせるものが最初。2011年の28列車が最多という。今でも、ネット上では「ラッピングがとても多く、見ていて飽きない楽しい石坂線」などと話題になっており、京阪電鉄の担当者は「ラッピング電車の制限がない大津では、市民だけでなく、鉄道ファンなどから注目されますよ」と効果をアピールしている。

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