「昭和基地」開設から68年…極寒の南極で続く過酷な観測
読売新聞 / 2025年1月29日 17時30分
南極にある日本の観測基地「昭和基地」が1957年1月29日に開設され、1次隊の11人が越冬しました。今でも極寒の中、観測が続いています。読売新聞朝刊の投書欄「気流」には南極に関する投書がこれまで寄せられてきました。記者の心に刺さった投書を紹介する「ササる投書」、今回のテーマは「南極」です。(※投稿者の年齢や職業などは掲載当時。紙面では実名で掲載)
基地再開に本腰を
自民党の科学技術、文教などの各部会で南極観測問題について協議した結果、昭和基地再開の諸経費として(昭和=編集部加筆)38年度予算に9億円を要求することにしたという。昭和基地が閉鎖された当時、これを惜しむ世論が聞かれたが、再開の機運が起こってきたことはまことに喜ばしい。南極観測に対する諸外国の力の入れ方と日本のそれとを比べて見るとき、いかに貧乏国とはいえアジアの先進国をもって自認している日本としてあまりにも貧弱なのは残念である。
今回の予算要求も正規予算は9億円として他は国庫負担契約といういわゆる国庫債務発注にたよるとのことであるが、そんなコソクな手段で南極観測の恒久化は達成できるだろうか。堂々と正規予算に計上して、全国民の支持のもとに本腰を入れた対策を望む。(55歳・無職=東京都、1962年12月16日掲載)
横断成功、隊員と犬に拍手
犬ぞりとスキーだけで南極大陸横断成功のニュース。実に220日目で快挙に成功した日本・米・仏・ソ・英・中国の6か国の混成隊に拍手を送りたい。
日本の舟津圭三さんは、犬にエサをやりに出て、自分のテントを見失い、雪の中に穴を掘り、翌朝、隊員たちに発見されるまで、約13時間をこの穴の中で過ごしたという。
舟津さんのメッセージの中に、「今は、ただ犬たちに感謝の気持ちでいっぱい。36頭の極地犬が、みんな無事だったことがうれしい」と、あった。みなさんの行動は、私たちに「勇気と希望」を与えてくれた。(35歳・主婦=栃木県、1990年3月7日掲載)
子供の夢育てた歴史、続くことを願う
南極の様子がテレビで放送されるたびに、少年時代を思い出す。南極にあこがれていた私は、白い大陸やペンギン、砕氷船、越冬隊、樺太犬のタロ、ジロなどについての記事や写真を宝物の箱に入れていた。
今年の夏も、南極観測船「しらせ」が運んでくれた「南極の氷」が石川県内の小中高校に贈られた。子供たちは目を輝かせてそれに見入ったことだろう。その「しらせ」の後継船を建造する計画が今、行き詰まっているという。
文部科学省は、「しらせ」が五年後に耐用年数を過ぎるので、新しい砕氷船の建造に必要な経費の一部を要求しているが、財政難を理由に財務省は難色を示している。
しかし、南極観測船は「宗谷」「ふじ」「しらせ」と続いており、観測の歴史は50年近くにもなる。世界各国と協力してきた経緯もあり、新船の早期建造を目指してほしい。
私はいま、環境保護の考え方を私たちの暮らしに生かしていくための研究をしているが、これも子供のころに、南極観測の話などを通じて培われた自然や環境に対する興味があったからだ。子供たちの夢をはぐくむためにも、南極観測が続けられることを願う。(59歳・自由業=石川県、2003年11月18日掲載)
担当記者から
南極ドームふじ基地の観測隊員たちの、泣き笑いの1年半を描いた映画「南極料理人」は好きな映画の一つです。最果ての地で楽しく過ごそうとする姿に勇気をもらいました。ただ、寒さは苦手なので南極はもちろん、ロケ地の網走でも冬に訪れるのは……。(田渕)
「ササる投書」を随時掲載します。次回もお楽しみに!
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