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2014年の追加緩和、賛否は「5対4」…日銀議事録・効果と副作用巡り議論紛糾

読売新聞 / 2025年1月29日 14時4分

日本銀行本店

 日本銀行は29日、2014年7~12月に開いた金融政策決定会合の議事録を公開した。10月31日の会合では「量的・質的金融緩和」を13年4月に導入して以降、初めての追加緩和を決めた。消費税率の5%から8%への引き上げや原油価格下落による物価上昇率の鈍化に危機感を抱いたためで、効果と副作用を巡って議論が紛糾し、賛否は5対4と割れた。

 10月31日の会合では、岩田規久男副総裁が「経済・物価情勢の下方リスクに対応して追加緩和すべき時だ」と述べ、追加緩和の議論の口火を切った。中曽宏副総裁は具体論に踏み込み、国債の買い入れ額増で資金供給量(マネタリーベース)の増加ペースを年約80兆円(従来は60兆~70兆円)に拡大することを提案した。

 黒田東彦はるひこ総裁は、副総裁らの意見を踏まえて「デフレマインドの転換が遅延するリスクの顕在化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタム(勢い)を維持すべきだ」と述べ、追加緩和の意義を強調した。

 この日、日銀は15年度の物価上昇率(消費税率引き上げの影響を除く)の見通しを、14年7月時点の1・9%から1・7%に下方修正した。同年4月の消費税率引き上げや、原油価格の下落などが物価の押し下げ要因になるとみたためだ。

 一方、会合では4人の審議委員が追加緩和に反対した。「大きな副作用が懸念される。円安にふれた場合、中小企業への影響にも配慮が必要だ」(森本宜久審議委員)、「(長期国債の)発行額のほとんどを(日銀が)吸収することは財政ファイナンスの懸念がある」(佐藤健裕審議委員)などの意見が出た。

税制・財政議論に「大きな不確実性」…昨年12月要旨

 日本銀行は29日、昨年12月18、19日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。追加利上げを見送った理由について、複数の政策委員が「物価の上振れリスクなどは相応に抑制されており、利上げを急ぐ理由にはならない」との意見を示していた。

 会合では9人の委員のうち8人が賛成し、政策金利を0・25%程度に据え置くと決めた。委員からは春闘の賃上げ交渉や米国経済の先行きを見極めるべきだとの意見が出た。ある委員は、「国内の税制・財政を巡る議論の行方にも大きな不確実性があり、現状維持とすることが適切だ」と述べた。

 景気を過熱させず、冷ましもしない金利水準である「中立金利」についての議論もあった。ある委員は「中立金利に近づいていけば、経済・物価の反応を慎重に見極めるために利上げペースを落とす必要がある。中立金利からまだ距離がある現時点では、適時のタイミングで利上げを行っていくことが望ましい」とした。

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