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意識高い系になったアイドル、父からのペイペイに「自己投資」を決意…清司麗菜の#skatelife

読売新聞 / 2025年1月31日 12時0分

年始、駒沢公園でスケートボードの練習をする清司さん(Flora提供)

 NGT48の清司麗菜さんはスケートボードに打ち込むアイドル。年始の休みを使って東京へ行き、スケボーに乗っていました。そこで声をかけられて感じたことは……。アイドルだって意識が高まる時期があるのです。「清司麗菜の#SkateLife~continuity180~」の第28回です。

ガタガタになっていたもの

 2024年が終わったと思ったら、余韻に浸る間もなく始まった2025年。

 年初の「NGT48劇場9周年記念公演」も無事に終わり、私にもつかの間のオフがやってきた。休みをもらった私は、埼玉県に帰省した。

 ステージの上ではアイドルの私でも、普段は23歳の女性。実家に帰って、祖母の元気そうな顔を見て、家族と過ごす。いつもなら、地元の友達と会うところだったけど、今年は一味違った。東京の駒沢オリンピック公園ストリートスポーツ広場にあるに行ってきたのだ。

 スケボーを始めるまでは、休日といえば、ディズニーランドなどのテーマパークや旅行などにお金を回していたところ。だけれど今年は、スケートボードの仕事が増えた去年の「学び」を生かして、3日間あるうちの2日間を東京のパークで過ごす。

 一緒に行ったのは、高野紗也華さん。東京のガールズスケーターで、ストリートブランド「Xラージ/Xガール」のマーケティングもしている。たかぬー、として知られていて、彼女の友達とも一緒にスケボーを滑りに滑った。挑戦したのは、以前、駒沢のパークに来た時に、骨盤を思い切りコーピング(アールとプラットフォームとの接点になるパイプの部分)に打ち付けて「トラウマ」になっていたミニランプ。最初は怖かったけれど、それなりに形になって良かったと思う。

 最近、デッキのサイズが変わった。今までは7・75インチ(幅約19・7センチ)のデッキで乗っていたのだけれど、Xガールの8インチ(幅約20・3センチ)のデッキに変更。大きくなった分だけ滑りの安定感は増したけれど、オーリーがうまく決まらなくなってしまった。

 スケーター仲間に相談したら「デッキのせいにするな」なんて、厳しいお言葉をもらった。思えば、テレビの企画でフロントサイド180を覚えたのが2年前。企画を成立するために突貫でトリックを身に付けたもんだから、基礎をないがしろにして、どんどん新しいトリックに取り組んでいた。気づけば、基本技がガタガタに。熊本県の注目株、中学1年の松本雪聖(いぶき)選手はオーリーなど基礎的な技を徹底的に滑り込むという。うん……。一回、見直そう。新しい課題が見つかり、私の2025年のスケートライフが始まった。

ペイペイで送られてきた1万5000円

 今年に入ってから、ありがたいことにアイドルとしてのお仕事がいくつか決まっている。1月上旬の「NGT48劇場9周年記念公演」では、なんと! 5月4日に新潟県民会館大ホールで単独コンサートをすることが発表された。

 2月には「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」の決勝大会で上位になった人が出演する「ファイナリストLIVE」が控えている。こちらも大きな会場で、生バンド演奏とともにステージに立つことができるのだけれど、私はある悩みを抱えていた。ボイストレーニングへ通うか、否かだ。

 なにせ、私にはお金がない。

 過去の連載をさかのぼってみると、2023年11月にも「お金がない」と書いているが、状況は特に変わらない。お金がない時の練習方法は「自主練」一択。狭い自室でご近所への音漏れを気にしつつ、あるいはカラオケで練習する。

 帰省したのち、新潟市内に帰る時には、両親も新潟に一緒に来てくれた。もはや私のホームになった市内の居酒屋さんでお酒を飲んでいるときのこと、何の気なしに「ボイトレに通おうと思っているのだけれど、お金が……」というと、お父さんは「自分への投資はきちんとしなさい。お金のことで迷ってるくらいなら相談しなさい」と一言。そして、PayPayで1か月分のレッスン代を送ってくれた。

 「なぜペイペイ?」とは思ったけれど、自分のスマホに入金されたことを知らせる「1万5000円」の表示。払おう!とは思っていた、食事のお会計まで甘えてしまった。

 売れたい……! これほどまでに私を奮い立たせることはない。

「自己投資」

 そして、私は今年、ある決心をした。それは「自己投資」に挑戦することだ。

 実は、駒沢のパークに行ったときに、「麗菜さんですよね? インスタ見ています」と声をかけてもらったのだ。確かにスケボーのお仕事をさせてもらうことも多く、インスタグラムのフォロワーの方も増えてきたけれど、まさか東京で声をかけられるとは!(しかも、パークの隅っこでぴょんぴょんとオーリーの練習をしているときに)

 少しずつ、スケーターとしての清司麗菜を知ってくれる人が増えた今、色んなお仕事をして、お金をもらう。それだけでいいのだろうか。そろそろ、私も成長して「セルフブランディング」して、「市場価値」を高める。そのために「自己投資」したほうがいいのではないか、と感じたのだ。

 NGT48に加入して、もう10年。アイドル界全体を見回しても、すっかりベテランになりつつあるけれど、年齢は23歳。大学まで行っていれば新卒の年で、世間的にはまだまだ「若者」だ。今までお金の使い道といったら、生活費を除けば、友達との旅行とか遊びに使うのが大半だった。

 でも、今年はきちんとパークに通って、アイドルとしてスキルアップをしていくために使えたらいいなって思う。だって、せっかくスケボーを通じて、私のことを知ってくれる人が増えたのだから。推してもらうのであれば、その背中は前に進む姿の方がいいに決まっている。

昔とは少し違うけれど

 今年は「単独コンサート」や「新公演」が決まって、私のアイドルとしての人生も大きく動く。NGT48がお披露目のステージに立った時も、初めてオリジナル楽曲を頂いた時も、私は最後列からの景色をたくさん見てきた。そして、当時NGT48に在籍していた北原里英さんや柏木由紀さん、同期であるメンバーたちが自分より輝いて見えた。ずいぶん色んなことがあったけれど、NGT48は5期生も加わることになった。

 私は、私の歩幅でここまできた。前に前に向かってきたけれど、できなくなったオーリーのように抜け落ちてきてしまったものや、ないがしろにしてきたものがあるかもしれない。自分を見つめて、後輩たちに何を残せるか。どんなグループにしていきたいかを考える。

 9年間活動してきて、もっとこうしておけばよかったと思う部分がたくさんあるからこそ、そこで自分が気づいたことを後輩たちに伝えていきたい。

 グループができた当初、何をするにもメディアに取り上げていただいた。その頃の体制とはずいぶん変わっているけれど、それでもメンバーたちは自分たちが好きなものを一生懸命、突き詰める。サッカーを応援する、野球を応援する、ゲームをする、スイーツを食べる、ラーメンを食べる……。それぞれの好きを発信して、NGT48というホームに還元する。私もスケートボードを通じて、そうありたい。

 それにしても「自己投資」――。なんかよく分からないけれど、かっこいい響きだ。今年は意識高い系で行こうと思う。23歳。“キャリア形成”にはまだ間に合う……よね?

プロフィル

清司麗菜(せいじ・れいな)

NGT48の1期生。埼玉県出身。「バイトAKB」として2014年にアイドルのキャリアをスタートさせ、2016年にNGT48に加入。全国スケートボード施設連絡協議会アンバサダー。趣味はスケボーのほか、歌うこと、筋トレ。Instagramは「@reinaseiji」、X(旧Twitter)は「@official_seiji」。

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