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道路の陥没事故 地下の空洞化をいかに防ぐか

読売新聞 / 2025年1月30日 5時0分

 地震でもないのに道路が突然大きく陥没し、走行中のトラックが転落するという衝撃的な事故が起きた。地下で何が起きていたのか。原因究明と再発防止が急務だ。

 道路が陥没したのは、埼玉県八潮市の県道交差点で、直径10メートル、深さ10メートルにわたって大きな穴が開いた。トラックは現場を通りかかった際、その穴に落下し、男性運転手が車内に取り残された。

 警察と消防が救助活動を続けているが、穴には土砂や水が流れ込み、作業は難航している。救出を急いでほしい。近くでは新たな陥没も発生し、地中のガス管が破損する恐れがあるとして、市などが周辺住民に避難を勧告した。

 現場は市の中心部で、近くには市役所や学校もある。多くの車や人が行き交う場所で、突如として道路がこれほどの規模で陥没しようとは、誰も想像できまい。

 下水道管が破損して管の中に土砂が流れ込み、地中に空洞ができたとみられている。陥没で管がふさがった可能性があり、県は周辺自治体の約120万人に対し、当面、洗濯や風呂を控えるよう呼びかけている。事態は深刻だ。

 この下水道管は1983年に使用が開始され、2021年度の定期点検では「ただちに工事は必要ない」と判断された。

 ただ、20年度の調査では500メートル離れた地点の下水道管は腐食が進んでいることが確認され、修繕が必要な状況だったという。

 県や市は、下水道管がなぜ破損したのか、詳しく調べる必要がある。21年度の点検が適切だったのかも、検証すべきだろう。

 下水道管の破損による道路の陥没は全国で発生している。国の調査では22年度だけで2000件以上起きた。老朽化した管に土砂が流れ込んで地盤が沈み込むケースが多いという。今回の事故も同じ理由だったのか。

 国内の水道管は各地で老朽化が進んでいるが、自治体の財政難で交換が追いつかない状況だ。このままでは道路の陥没に歯止めがかからない。自治体は更新作業を急がなければならない。

 水道管の点検は、聴診器のような器具で異音を確認するのが一般的だが、最近はAI(人工知能)を使って劣化度を調査する方法もある。調査の精度を高め、効率的な水道管の更新につなげたい。

 JR博多駅前や東京都調布市では過去、地下の工事が原因で大規模な陥没が起きた。安心して暮らすためには、地中に潜む様々なリスクを取り除くことが重要だ。

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