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ロピア上陸「あおりを受けるのは、あそこだろう」…北海道のスーパー勢力図に荒波

読売新聞 / 2025年1月30日 10時26分

「ロピア」の道内1号店となる屯田店。割安・大容量の肉が目玉商品だ(札幌市北区で)=木田諒一朗撮影

スーパー新時代<上>

 北海道内のスーパーの勢力図が塗り替わろうとしている。昨年9月から今月にかけ、東京に拠点を置く「西友」と「イトーヨーカドー」が相次いで撤退し、昨年11月には、割安スーパー「ロピア」が初進出した。物価高と人口減に揺さぶられながら、生き残りを図る道内各社の実情に迫った。

 昨年12月30日午後、札幌市北区の「ロピア屯田店」は、年末年始に向けて食材を買い込む客で大混雑していた。入店待ちの行列に約1時間並び、カニや肉を買い込んだ札幌市西区の女性(28)は「量が多くて割安で、見たことのない商品ばかり。選ぶのが楽しい」と興奮気味に語った。

 同店は昨年11月23日、「ヨーカドー屯田店」の跡地に道内1号店として開店した。初日は午前9時時点で約2000人が列を作り、ロピアの開店初日として過去最高の売り上げを記録した。週末はいまだに入場制限がかかることもあり、「観光名所」と化している。

 ロピアの売りは割安・大容量の肉や魚だ。屯田店の中央では500グラム超の和牛やサーモン、マグロなどがぎっしりと並ぶ。売り場のレイアウトも、名物の「ロピアピザ」を露店のように販売したり、バナナをつるしてボリュームを強調したりと工夫を凝らす。菓子売り場では、来店客の頭上に敷いたオモチャのレールを列車が走り、子どもたちの目がくぎ付けになっている。

 ロピアは2月8日に開店予定の福住店(豊平区)など、5年間で道内に25店舗の出店を目指す。運営するOICグループ(川崎市)の浜野仁志・経営戦略本部長は満員の店内を見渡し、力強く話した。「大きさと価格、売り場で驚いてもらい、買い物は面倒という考えを覆したい。きっと北海道の人も受け入れてくれる」

 「黒船の襲来」と例えられるロピアの進出。しかし、顧客を奪われると懸念されたロピアの「足元」では現在、意外にも好影響が出ている。隣接する「北海市場屯田店」では、昨年12月の売り上げが前年比で25%アップ。ロピア目当ての客がつられて訪れ、販売が伸びた。運営する「モリワキ」の今野一彦副社長は「ロピアは割安感を重視するファミリー層が中心だが、うちの常連客は通常の量で良質な商品を好む若夫婦や高齢者。競合はしない」と余裕の表情だ。

 ただ、テコ入れにも余念はない。同店はロピア進出を前にした昨年9月、月額550円の宅配サービスを開始した。閉店したヨーカドーが行っていた宅配サービス利用者の受け皿になることを狙う。現在の会員数は400世帯で、さらに300世帯の上積みを目標に据える。推移は順調で、札幌市中央区の「山鼻店」でも宅配サービスを始める予定だ。「黒船」は確実に地元へ刺激を与えている。

 「ロピアのあおりを受けるのは、あそこだろう」

 業界関係者が声を潜めて挙げる名前が、格安が売りの「トライアル」だ。2008年に精肉が売りの「カウボーイ」を買収して道内に進出し、現在は計33店舗を展開。ロピアが1号店を出した屯田地区にも出店している。

 ほぼ全店が365日24時間営業し、あえて特売日を設けないスタイルが特徴だ。「いつ行っても同じ価格」という安心感を押し出しながら、値札を付け替える手間やコストを省く。ペット用品やカー用品など幅広い品ぞろえも強みだ。

 運営する「トライアルカンパニー」(福岡市)の野田大輔・マーケティング部長は、ロピアについて「道内だけでなくあちらこちらで近い店舗がある。切磋琢磨せっさたくましていきたい」と慎重な言い回しだ。近年は道内で急速に店舗を増やしており、着実に道民へ浸透しているという自信もにじむ。

 道内大手スーパーの幹部は「地域の胃袋の数は変わらない。出店が増えれば、どこも影響は避けられないのではないか」とみる。各社は固唾かたずをのんでロピアがもたらす余波の行方を見守っている。

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