「世界大会」と「最後の夏」が重なった高校野球、片岡安祐美の選択は…「土壇場で私のバットを」
読売新聞 / 2025年1月31日 10時0分
社会人野球チーム「茨城ゴールデンゴールズ」の監督を務める片岡安祐美さん(38)は高校時代、女子は出場できないと知りながらも、甲子園をめざして白球を追い続けた。夢と青春をかけた最後の夏は……。
(読売中高生新聞編集室 渡辺星太)
ユニホームを着させてくれるなら
「日本高校野球連盟の規則では、女子の公式戦出場は今も認められていません。当時の私にできるのは、スタンドからチームに声援を送ることだけでした。そんなある日、中学の友達がボート部の女性選手としてアジア選手権に出場したという記事を目にしました。切なくて、涙があふれてきたのを覚えています。
試合でミスをした同期がレギュラーから外されたことがありました。『マネジャーでもやろうかな』と腐っていたので、『私の前で、よくそんなことが言えるな!! チャンスをもらいに行けよ!!』と一喝してやりました(笑)。そんな私だったからなのか、高2の秋に監督から『お前をベンチに入れたい』と言われました。選手としてはもちろん無理なので、記録員としての打診でした。通常、記録員はマネジャーなどが制服を着てベンチに座りますが、私は『ユニホームを着させてくれるなら』と言って、この話を受けました」
男子に交じって公式戦に出ることはかなわなかったが、女子野球で頭角を現し、史上最年少の日本代表に選ばれる。
「高1から高3まで、女子野球の日本代表として世界大会に出場しました。『野球をやっている女の子って、世界にはこんなにいるんだ』と驚いたし、とても励みになりました。今思えば、こうした機会があったから、めげずに高校野球を続けられたのかもしれません。
甲子園がかかった高校最後の夏は、地方大会の2回戦以降が女子野球の世界大会と重なっていました。私は当然、日本代表を辞退するつもりでした。でも、部活の監督から『大きなものを背負っているんだから』と説得されました。同期も『代表戦が終わるまで勝ち続けるから』と約束してくれたので、その言葉を信じて世界大会へ行きました。
でも、チームは私が遠征している間に、県予選のベスト16で負けてしまいました。3点をリードされて迎えた七回、連打で1点差まで詰め寄ったそうです。その口火を切ったのは、なんと私の金属バット! 後から知らされたのですが、仲間が私のバットをベンチに持ち込んでくれていたんです。みんなより短いバットなのに、土壇場でそれを使ってくれたんですね。もう、感動しちゃって……。
世界大会では見事に優勝したのですが、祝賀会は心ここにあらず。早く熊本に戻って、みんなに会いたかった。私が戻るまで最後のミーティングは待っていてくれました」
夢の続きは
2005年、タレントの萩本欽一さんが社会人野球チーム「茨城ゴールデンゴールズ(GG)」を創設し、話題になった。そのメンバーに唯一の女子選手として名を連ねた。
「高校卒業後は教員免許を取るために大学に進もうかと考えていたとき、入団テストがあると知って、受けたら合格したんです。元プロ選手もいて、『高いレベルで野球ができる』とうれしかったですね。社会人野球で鍛えられて、プロ野球選手を目指そうと思いました。
全日本クラブ野球選手権の優勝も経験し、2011年に萩本さんから監督を引き継ぎました。『誰かのために野球をしなさい』という教えを大事にしています。茨城県には女子野球の受け皿がなかったので、チームに女子部も作りました。今は、茨城GGを全国の舞台で輝かせることが夢です。
振り返ってみると、甲子園を目指す女子選手なんて、変わっていると思われていたかもしれません。でも、周囲にどう見られようと、大切なのは自分がどうしたいかです。夢のかなえ方だって色々ある。私はそれを野球から教わった気がします」
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