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「殺した人間が島にいる」…巣穴から頭を出した状態の死骸を見つけたウサギ写真家、男を取り押さえる

読売新聞 / 2025年1月30日 14時45分

写真家の中村さん夫婦が大久野島で撮影したウサギの写真(中村隆之さん提供)

 「ウサギの島」として知られる広島県竹原市の大久野おおくの島で、ウサギを蹴ったとして大津市の会社員の男(25)が動物愛護法違反容疑で逮捕された事件で、男を取り押さえたのは、島に通う写真家の夫婦だった。死骸を見て不審に思い、前日から見回りをしていたという。30日、県警竹原署から感謝状が贈られた。(東広島通信部 正田和也)

死骸を目の当たりにし前日から警戒

 熊本県合志こうし市の中村隆之さん(49)と、妻の麿矢まやさん(46)。結婚前の2000年に初めて島に来て、ウサギの魅力にひかれた。今は2人ともウサギ専門の写真家として活動し、月に1回、撮影のため島を訪問する。

 異変に気づいたのは、島を訪れていた昨年12月。両脚が折れたり、鼻から血を流したりしているウサギの死骸を目の当たりにした。岩陰など人目に付きにくい場所ばかりだった。

 隆之さんは「人の仕業ではないか」と考え、2人で1月20日から島に宿泊した。翌21日午後、巣穴から頭を出した状態の死骸を見つけた。朝、撮影したばかりのウサギだった。「殺した人間が島にいる」と確信した。

 「怪しい男がいる」と知人から連絡が入った。傷んだニンジンを手にウサギをおびき寄せていたという。離れて1時間ほど様子を見ていると、遊歩道の隅でいきなりウサギを蹴り上げた。

 隆之さんが男の肩をつかむと、男は「ごめんなさい」と謝った。取り押さえ、通報で駆けつけた警察官に引き渡した。

 島を管理する環境省中国四国地方環境事務所によると、島内での不審な死骸は昨年11月に15匹、12月に33匹、今年1月(22日まで)に51匹の計99匹見つかった。県警竹原署が事件との関連を調べている。

 男の逮捕後は被害は収まっているといい、同事務所の岡部佳容課長補佐は「ほっとしている。中村さん夫婦には、今後も島を見守ってほしいとお願いした」と語った。

 30日には、竹原署の井本憲吾署長が同署で2人に感謝状を贈った。隆之さんは「これ以上の被害を出さない一心で、無我夢中だった。表彰されてびっくりしている」と話した。

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