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ディープシーク、オープンAIのAIモデルが学習した内容を「蒸留」か…「不適切に利用した可能性」

読売新聞 / 2025年1月30日 19時55分

オープンAIとチャットGPTのロゴ=ロイター

 中国のAI(人工知能)開発企業「ディープシーク」を巡り、「チャットGPT」を開発した米オープンAIは30日、読売新聞の取材に「ディープシークが私たちのAIモデルを不適切に利用した可能性がある」と明らかにした。米国政府と連携しながら調査を進めているという。

 オープンAIによれば、ディープシークは「蒸留」と呼ばれる手法を使い、オープンAI製のAIモデルが学習した内容を不当に利用して、自社のAI開発を進めたという。

 蒸留とは、大量のデータを学習した大型のAIモデル(教師モデル)から、計算速度の速い小型のAIモデル(生徒モデル)へ知識を移転する技術を指す。具体的には、教師モデルが事前に学習したデータを、要点を絞るなどして覚えやすい形に整え、生徒モデルに学習させる。回答の正確性は低下する可能性があるが、教師モデルより素早く質問に回答できるようになる。

 2024年にノーベル物理学賞を受賞したジェフリー・ヒントン氏らが提唱した手法で、高性能な半導体がなくても動く小型のAIモデルを作成する際によく使われる技術だ。

 問題は、オープンAIが利用規約で、自社のAIモデルの知識を、競合するAIモデルの開発に利用することを禁じている点だ。オープンAIは「米政府と緊密に連携しながら技術の保護に向けて対策を講じる」と強調した。アカウントの利用停止などを通じてディープシークのアクセスを遮断し、蒸留を防ぐ考えとみられる。

 欧米メディアによれば、トランプ政権でAI分野の政策責任者を務めるデービッド・サックス氏は28日、今後数か月かけて蒸留防止の対策を進める方針を明らかにした。米次期商務長官のハワード・ラトニック氏も29日、米国のAI企業を保護するために追加の措置を取る可能性を示唆した。

 ただ、複数のアカウントを用意するなどして、防止策を回避することは可能とみられ、実効性のある対策を打ち出せるかどうかは見通せない。過度な防止策を導入すればAI開発の停滞につながる可能性もある。(ニューヨーク支局 小林泰裕)

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