アメリカの旅客機衝突、水中の捜索難航…乗客家族「川から引き上げてくれるのを祈るばかり」
読売新聞 / 2025年1月30日 21時31分
【アーリントン(米バージニア州)=阿部真司、冨山優介】米国の首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港付近で29日夜に起きた旅客機と米軍ヘリの衝突事故を受け、現場や空港は騒然となった。厳しい寒さの中の水中での捜索は難航し、関係者は沈痛な表情を見せた。
29日深夜、事故が起きた現場付近の道路は、消防や警察の車両が何台も行き交い、上空では捜索などを行うヘリコプターが旋回していた。救助艇を搭載した車両も現場へ向かった。通行止めとなった周辺の道路は係員が怒号に近い大声を上げて車両を誘導し、緊迫した様子だった。
捜索は約300人態勢で行われている。救助・捜索活動は未明も続き、緊急車両の赤々とした照明の光がポトマック川の川面に映し出されていた。
旅客機に妻が搭乗していたという男性は米CNNの取材に対し、「彼女を川から引き上げてくれていることを祈るばかりだ」と語った。妻からは「20分後に着陸する」とのメッセージを受け取ったが、その後連絡は途絶えたという。
フロリダ州からの乗り継ぎで空港のターミナルにいたクリス・ディクソンさん(26)は読売新聞の取材に「大きな爆発音が聞こえた。何が起きているのか分からなかった」と語った。インディアナ州に向かう予定だったが、便がすべてキャンセルとなり、近くのホテルに泊まることになったという。
ロハン・チナラチャイガリさん(23)は、テキサス州に向かう飛行機内で離陸を待っていたが、事故を受け、機内から降ろされた。事故のニュースを見て、「恐ろしい。巻き込まれず、幸運だったのかもしれない」と語った。空港は行き場を失った人たちで混乱状態になったという。
米ABCニュースによると、事故当時の気温は10度で、ポトマック川の水温は2度。風速約11~13メートルの風が吹いていた。
地元消防の責任者は空港内での記者会見で、「気温が低く、風は強い。水は濁っていて、ダイバーが潜るにはとても厳しい状況だ」と険しい表情を浮かべた。
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