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モペットを免許不要の「特定原付」と偽り販売容疑、会社役員ら2人を書類送検へ…証明書を偽造

読売新聞 / 2025年1月31日 2時0分

 運転免許が必要なペダル付きバイク「モペット」を、免許が不要な「特定原付」と偽って販売したとして、大阪府警は、自転車製造会社「Wiz World」(大阪市)の役員の男(47)と元従業員の男(30)を詐欺と不正競争防止法違反の両容疑で近く書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。男らは販売時に添付する証明書を偽造し、購入者はモペットと知らずに無免許運転していた。

 特定原付と偽ってモペットを販売した業者の摘発は全国初。

 捜査関係者によると、2人は2023年9月頃~24年8月頃、大阪市内の自転車販売店にモペット48台を特定原付として販売し、計約311万円を詐取するなどした疑いがある。府警は、2人の起訴を求める「厳重処分」の意見を付ける。

 特定原付は、正式には「特定小型原動機付自転車」と呼ばれる車両区分で、23年7月施行の改正道路交通法で新設された。最高時速20キロ以下などの機能条件を満たし、ナンバープレートなどを付ければ、16歳以上は免許なしで運転できる。

 一方、モペットは最高時速30キロ程度のペダル付きバイクで、ペダルをこがなくても自走する。特定原付と見た目が変わらないものもあるが、大半はミニバイクなどと同じ「一般原付」に分類され、免許が必要だ。

 昨年8~9月、大阪府羽曳野市などでモペットを運転していた男性2人を警察官が職務質問。いずれも無免許で、「特定原付と言われて買った。免許はいらないと思っていた」と話したため、購入した店に事情を聞いたところ、仕入れ元のWiz社から「免許が不要」と説明されていたことが判明した。

 男らは、中国の業者から部品を輸入してモペットを組み立て、特定原付と偽った「販売証明書」を作成。ホームページやカタログで特定原付と偽り、これまでに100台以上を小売店に販売、1000万円以上売り上げたという。

区分が難しく、勘違いでの交通違反相次ぐ

 事件の背景には、電動モビリティー(移動手段)が多様化する中、区別や規制への理解が十分に広がっていないことがある。

 電動モビリティーの大半は、23年7月の改正道交法施行まで、公道を走るには免許が必要だった。電動キックスケーターの普及に伴い、規制緩和されたが、免許が必要なものと不要なものに分かれる形になった。

 特にペダルがついているモペットは、多くが電動アシスト自転車と見た目がほとんど同じで、勘違いによる交通違反が相次いでいる。

 警察庁によると、24年1~11月のモペットの交通違反は全国で2197件に上り、前年同期(291件)の約7倍。このうち443件が無免許運転だった。事故も59件起き、前年同期より27件増えた。

 行政側がチェックする仕組みも十分と言えない。一般原付も特定原付も販売店や購入者から販売証明書の提出を受ければ、自治体は車体を確認せず、ナンバープレートを交付する。今回の事件でも自治体側は偽造に気づかなかった。大阪府内の自治体の担当者は「書類は正しいという前提で確認している」と話す。

 東海大の鈴木美緒准教授(交通工学)は「ネット上ではモペットが特定原付と偽って販売されているケースがある。販売側が偽装したら利用者が見抜くことは難しい。悪質業者を厳しく取り締まり、正しく販売することを促す仕組みやルールも考える必要がある」と指摘している。

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