クジラ「淀ちゃん」処理費は「1404万円減額の余地あった」…大阪市に外部監察委員が報告書
読売新聞 / 2025年1月31日 7時12分
大阪湾に迷い込んだクジラの死骸処理費が大阪市の試算の2倍以上に膨らんだ問題で、金額の妥当性などを調べていた市外部監察専門委員は30日、海運業者への委託費8019万円について、交渉次第で最大1404万円を減額できる余地があったとする報告書を公表した。
2023年1月に大阪市の淀川河口付近で死んだクジラ「淀ちゃん」について、市大阪港湾局は市内の海運業者に処理を委託し、業者が船で運んで紀伊水道沖に沈めた。市は23年3月1日時点で処理費を3774万円と試算していたが、業者との交渉を経て同3月31日に8019万円で随意契約した。
市外部監察専門委員は弁護士8人で構成。昨年6月に市から委託を受け、市職員9人と業者関係者3人から聞き取りなどを行った。
報告書では、クジラを載せた船を洗ったことが確認できる資料がないにもかかわらず「特殊清掃費」を計上したことや、
一方で、クジラ処理の特殊性から本来あるべき金額を一義的に定めることはできず、市の損害を算定することは困難だと指摘した。
埋設より費用がかかる海洋投棄を選んだことについては、クジラの体が腐敗してたまったガスで爆発する恐れがあり、急ぐ必要があったことから「許容されないとは言い切れない」と判断。委託業者の選定も「
業者との交渉などを巡る大阪港湾局の対応については、方針が職員に十分に指示されなかったなどとして、「ガバナンスが機能していなかった」と批判した。
同局の経営改革課長(当時)が交渉期間中に業者の会議室で2回、業者担当者と飲食をしていたことや、人事・港湾再編担当課長(同)が慰労目的で業者側に酒を贈ったことを「不適正」などとした。
大阪港湾局トップの局長と防災・施設担当部長(同)、経営改革課長の3人については、住民訴訟で市に損害があると評価された場合、損害賠償責任が認められる可能性があると言及した。
局長は見積金額の正当性を詳細に検討することなく契約締結を決裁し、防災・施設担当部長は業者との交渉を担当する海務課長の上司であったにもかかわらず交渉に積極的に関与しなかったという。経営改革課長は担当外ながら交渉に関与し、業者寄りの金額に誘導するような言動があったと認定された。
大阪港湾局と委託業者との関係性は「特段の問題は見受けられなかった」と判断した。
市長、職員の処分検討
専門委員8人は30日、報告書を市に提出した後、市役所で記者会見した。山形康郎弁護士は「一つひとつの見積もりに対しての検証や協議をもっと丁寧に進めていくべきだった」と強調。その上で、「組織として動く時の方向付けが担当者任せになってしまっていた。連携や認識合わせが不十分だった」と述べた。
横山英幸市長は記者会見で、「重く受け止め、再発防止に努める」と述べ、関与した職員の処分を検討すると表明した。職員や業者への損害賠償請求については、「市の損害が断定されていない」として、見送る考えを示した。
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