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災害時に都心550神社へ支援物資、郊外8拠点神社からリヤカーなどで搬入…「神社は公共施設」

読売新聞 / 2025年1月31日 15時0分

震災当時を振り返り、「事前の備えと神社間の連携が大事」と語る高橋さん(昨年10月30日、東京都世田谷区で)=広瀬航太郎撮影

 首都直下地震に備え、東京都神社庁は全国の神社から寄せられる支援物資をいったん拠点となる神社に集め、都心の神社に運ぶ「リレー方式」の態勢の構築に乗り出した。東日本大震災では避難所ではない神社に多くの避難者が集まったためで、神社間のつながりの強さを生かし、迅速に物資を届ける計画だ。

 都の地域防災計画では、都内で震度6弱以上の地震が発生した場合、環状7号線(環七)の外側から都心へ向かう車は緊急車両を除き通行が禁止される。そのため、環七の内側にある約550の神社への支援が課題となっていた。

 同庁は八王子市や清瀬市、葛飾区などの都内10神社を「震災時仮拠点神社」に指定しており、このうち8神社は環七の外側にある。同庁は仮拠点神社に支援物資を集積し、被災者が集まる都心の神社にリヤカーなどで運ぶ考えだ。仮拠点神社の一つ、大国魂おおくにたま神社(東京都府中市)の猿渡さわたり惇・権宮司(40)は「都心と郊外をつなぐ拠点として動けるよう備えたい」と話す。

 同庁によると、仮拠点神社は2016年に指定したが、その後、具体的な取り組みは進んでいなかった。しかし、昨年の能登半島地震を受けて本格的に検討を始めた。搬送ルートなど具体的な計画の策定はこれからだという。

 同庁はこれまでに全ての仮拠点神社に折りたたみ式のリヤカーや非常用発電機を配備。約420の神社には、水に浸すと発光するライトや施設の応急処置などに使える長さ約30メートルのロープを配布した。

 東日本大震災では、多くの神社が事実上の避難所となった。瀬田玉川神社(世田谷区)の高橋知明禰宜ねぎ(49)は、震災発生の約1週間後に実家がある岩手県陸前高田市の神社に行くと、社務所内に約200人の住民が避難していた。神社は避難所に指定されていなかったが、約3か月にわたり避難者を受け入れたといい、「住民にとって神社は公共施設だった」と振り返る。

 同庁の和田隆之・防災委員長(53)は「神社間の日頃の付き合いを生かし、どう支援できるか議論を深めたい」と話している。

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