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「備蓄米」放出を柔軟化、農水省が指針見直し…米価高騰は一部業者の在庫積み増しが原因との見方

読売新聞 / 2025年1月31日 20時53分

昨夏、「入荷未定」を知らせるスーパーのコメ売り場(大阪市阿倍野区)

 農林水産省は31日、放出するのを凶作時などに限定していた備蓄米制度の運用方針を見直し、円滑な流通に支障が出た場合でも放出できるようにした。現在、米価が高騰しているのは一部の卸売業者などが過剰な在庫を抱えているのが一因とみられ、備蓄米を柔軟に放出して米の流通量や価格を安定させる狙いがある。

 31日の食料・農業・農村政策審議会(農相の諮問機関)食糧部会で、食糧法に基づく「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」の変更案が了承された。

 主食用米の円滑な流通に支障が生じて農相が必要と認める場合、1年以内に政府が同等・同量の国産米を買い戻すことを条件に、備蓄米を全国農業協同組合連合会(JA全農)などの集荷業者に売り渡す。放出の具体的な時期や条件は未定だとしている。

 農水省によると、2024年産米の生産量は23年産に比べて18万トン多いが、JA全農などの集荷量は昨年12月末時点で前年より21万トン少ない。米価の高止まりを受け、一部の農家や小規模な集荷業者が在庫を積み増しているとみられ、「円滑な供給に滞りが生じている」(農水省)ためだ。

 農水省によると、JA全農など集荷業者と卸売業者との間の取引価格は、昨年12月まで4か月連続で過去最高を更新。総務省が発表した12月の消費者物価指数でコメ類は前年同月比で64・5%上昇した。都内のスーパーでは5キロ・グラムで4000円前後の商品が目立つ。

 政府は昨年夏にコメが品薄となって価格が高騰した際も、備蓄米を放出しなかった。江藤農相は1月24日の閣議後記者会見で「正直なところ、新米が出れば市場が落ち着くという見通しを持っていた」と語った。

 米価高騰が続く中での方針転換に、「政府は昨年夏の段階で、備蓄米の販売ルールを緩和する措置を講じるべきではなかったか」(野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト)との批判も多い。

備蓄米制度=不作などに備えて、政府が一定量のコメを保管する制度。10年に1度の凶作や、2年連続の不作に対応できるように備蓄水準を100万トン程度としている。政府が毎年約20万トンずつ買い入れて5年間保管し、その後に飼料用などとして売却する。歴史的な凶作となった「平成の米騒動」(1993~94年)がきっかけで作られた。

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