ビニールケースにお金入れる「100均財布界隈」増殖中...キーワードは「共感」、識者と背景を考えた
J-CASTニュース / 2025年1月31日 20時26分
記者が愛用する「100均財布」のビニールケース
2025年1月上旬、「100均財布界隈」というワードがXで大きな話題を集めた。100円ショップで販売されているような、カードサイズのビニール製ケースを財布として使う人々を指す言葉で、主に若い女性の間で支持されている。
なぜ100均財布が若者の間で流行っているのか。若者に特化したマーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.」所長の長田麻衣氏に、その背景を考察してもらった。
キャッシュレス化で財布のミニサイズ化進む
Xでは「自分も使っている」として100均財布の写真を投稿する人が相次いだ。サンリオ、ディズニー、おぱんちゅうさぎなど、キャラクターが描かれたカードが入るほどの大きさのビニール製ケースを「財布」として使っているという。必ずしも100円ショップのものではないようだが、多くは100円ショップのケースを使用しているという。
「100均財布」を使う意図としては、「汚れてもすぐ買い直せる」「中身が透明だと見やすい」「小さい鞄の時に使う」「財布にお金をかけるのがもったいない」「キャッシュレス化で現金を持たなくなった」といった、様々な理由が挙げられた。
長田氏は1月30日、J-CASTニュースの取材に対し、若者の間で100均財布が流行っている背景を大きく分けて2つの観点から説明した。
まず、小さいカバンの流行やキャッシュレス化によって財布がミニサイズ化したこと。「財布を出すタイミングが少なくなっていて、財布にお金をかけなくてもいいと思う層が出てきたのだなと、しっくりきています」と指摘する。必要な財布の容量は確実に減ってきているため、ファッションの面でも、小さめの財布は今よりさらに求められるとみる。
一方で、ハイブランドなどの高額な財布も人気を維持すると推察する。低価格帯の商品が出れば出るほど、ブランドの価値は上がっていくとし「TPOによって使い分けることになると思います。楽しみ方や選択肢が広がっていくようになるのではないでしょうか」と指摘した。
名前をつけることで可視化される「界隈」は共感できる人同士で集まる
2つめの観点が、「界隈」という存在。100均財布の台頭を紐解くのに不可欠なワードだ。
「界隈」は、24年「ユーキャン新語・流行語大賞」トップ10に選出。公式サイトでは、「同じものが好きな人同士でつながって楽しむような意味合い」で使われ始めたと説明されている。
長田氏は、「名前がついてバズったことで共感する人が集まっていく。潜在的なものが界隈として名づけられたことで、見える化していく」と説明。例えば、意図的に入浴を控える「風呂キャンセル界隈」、長距離を散歩する「伊能忠敬界隈」などがあり、100均財布界隈はその事例の1つなのではと指摘した。
100均財布においては、「子どもっぽい」「みっともない」のようなネガティブな意見もある。しかし、「自分だけじゃなかった」と気づくことで仲間に出会えるきっかけになるという。若者には「周りの人は共感してくれないかもしれないが、自分が生きやすくなるにはダメなところに共感して認めてくれる、許してくれる仲間を探したい」という気持ちがあるとみている。
「みんなで楽しむというよりも、少数でも共感してくれる・熱量が高い人同士で集まる。今は、それを軸にして、様々なトレンドや消費が生まれていく流れがある。100均財布もみんなが持っているわけではなく、Z世代全体の大きなトレンドではありません。けれども財布を小さくしたいとか、ブランドものじゃなくてもいいとか、そこに共感できる人たちが財布界隈に集まってきているのでは」
「界隈」は今後も様々なテーマで増えていく
長田氏いわく、コロナ禍前はZ世代全体で広く同調圧力があった。しかし、コロナ禍で行動や人間関係が制限されたことで、全員と共感しなくても、同じことを同じ熱量で楽しめる人たちとだけ共有できればいいという空気感ができた。若者は周りの目を気にする意識が高いため、気にする半径を狭めていくことで、自分の安心感を確保して、小さい「界隈」の中で消費を楽しんでいくことが当たり前になってきているのだという。
一方で、「わかる人にだけわかればいい」という閉ざされた界隈では、自浄作用を失ってしまうのではないか。長田氏は、こう語る。
「界隈にいる人が同じで凝り固まることも勿論ありますが、強制感がないのが界隈の良さです。界隈との距離感は個人が調節できるもので、グラデーションになっています。界隈は境界線がないのが特徴で、嫌になったら離れることを選択できます」
長田氏は、界隈の流行はその「生きやすさ」から出ている傾向とし、「今後様々なテーマで加速して増えていくと思います」としている。
(J-CASTニュース編集部 井上果奈)
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