予算委員会 首相の外交答弁に不安が残る
読売新聞 / 2025年2月1日 5時0分
今月上旬にも開かれる日米首脳会談に石破首相がどう臨むかが一つの焦点となったが、首相の答弁は具体性を欠いていたと言わざるを得ない。
衆院予算委員会で2025年度予算案の実質審議が始まった。
自民党の中曽根康隆氏は、トランプ米大統領が北朝鮮を「核保有国」と述べたことについて、「北朝鮮と何らかのディール(取引)をしようと考えているのでは」と述べ、首相の見解を尋ねた。
立憲民主党の源馬謙太郎氏は、トランプ氏に「防衛費を上げろと言われた時に受け入れることはないか」と問いただした。
こうした質問に対し、首相は「日米同盟を新たな高みに引き上げていきたい」といった紋切り型の答弁を繰り返した。
中露や北朝鮮が軍事的威圧を強める中、日本の安全をどう守るのか、首相が見解を示し、国民に理解を深めてもらう絶好の機会だったのに、総論に終始したのは残念だ。これでは熟議と言えない。
首相は、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約の尖閣諸島への適用を確認する考えを示したが、これは過去の首脳会談で繰り返し米国が約束している。
国際情勢が流動化し、日米同盟の重要性は増している。日米間に限らず、様々な国際社会の課題への対応策について、首脳会談で日米の足並みをそろえることができるのか、心配になる。
日米間の当面の懸案は、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収問題だろう。バイデン前米大統領は安全保障上の懸念を理由として、禁止命令を出した。この命令を覆すのは容易ではないとみられている。
だが、トランプ氏が重視しているのは米国内の雇用のはずだ。日本製鉄による買収がいかに雇用を生み出し、米国の利益となるか、首相の説明が鍵を握ろう。
事態の打開に向け、政府は日本製鉄と協議の上、一層の雇用創出策を軸に調整を図るべきだ。
一方、衆院予算委は、政治資金規正法違反事件で有罪となった自民党旧安倍派の会計責任者の参考人招致を議決した。自民は反対したが、野党の賛成多数で決まった。ただ、会計責任者は招致に応じない考えだという。
参考人招致は全会一致で議決するのが慣例で、多数決で決めたのは1974年以来51年ぶりだ。
議決に強制力はないが、民間人の国会招致は、与野党とも慎重であるべきだ。「数の力」で乱用されることがあってはならない。
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