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街や農場から人影消える…トランプ政権の不法移民大量摘発で「外出できない」、出勤拒否も

読売新聞 / 2025年2月1日 5時0分

 トランプ米大統領が掲げる「史上最大の強制送還作戦」が本格化し、各地で不法移民の大量摘発が相次いでいる。移民の多い地域では拘束を恐れて外出を控え、街が「ゴーストタウン」と化していた。移民を多く雇う農場では、出勤拒否で収穫が遅れるなどの影響も出ている。(シカゴ 金子靖志、ベーカーズフィールド 後藤香代)

■妻子は米国市民権

 「拘束されると思うと外出もできない。不安で生きている心地がしない……」

 1月29日夕、中南米からの移民が8割以上を占めるシカゴ西部の街「リトルビレッジ」。市民団体による食料支援を受けに来たメキシコ出身のホセさん(42)(仮名)は声を潜めた。

 2歳の頃に両親に連れられて渡米し、今は米国の市民権を持つ妻と子ども2人と暮らすが、自身は不法滞在の身分だ。「私が強制送還され、家族と離ればなれになるのだけは絶対に避けたい」と話し、食料を受け取ると足早に帰路に就いた。

 リトルビレッジはシカゴ内で有数の繁華街として知られるが、拘束を恐れた移民が外出を控え、「ゴーストタウン」のようだった。

 トランプ政権は不法移民が集中するニューヨークやデンバーでも大規模な摘発を展開しており、拘束者数は連日1000人前後に上る。シカゴでは1月26日から本格的な取り締まりが始まり、30日までに少なくとも100人が拘束された。

 連日満席となるリトルビレッジのメキシコ料理店では、トランプ氏の就任直後から客足が途絶えた。同店のルイサさん(36)は「売り上げが激減し、将来がとても不安だ。このままでは従業員を解雇しなければならない」と語った。

■収穫されないオレンジ放置

 食べ頃のオレンジが実るカリフォルニア州中部ベーカーズフィールド近郊のオレンジ畑。1月29日に訪れると人影はなく、オレンジが収穫されずに放置されていた。州中部では農業労働者の約半数を占める不法移民が当局の拘束を恐れ、出勤を控える動きが出ている。

 州中部に本部を置く全米農業労働者組合の広報担当、アントニオ・デ・ロエラさん(29)は「この地域で200人近くが拘束された。ラテン系米国人も国境警備隊から滞在資格の証明を求められ、恐怖と不安が広がった」と語る。拘束された人には不法移民以外も含まれていたという。

 米農務省によると、全米の農業労働者のうち、不法移民は4割超に上る。拘束作戦が続けば、農業が人手不足に陥り、多額の経済損失が生じるとの見方がある。カリフォルニア州立大のリチャード・ギアハート准教授(経済学)は「食料価格が5%上昇して人々の消費行動に影響が及び、米国の国内総生産は年2~3%減少する」と分析する。

 一方、デ・ロエラさんは「不法移民を低賃金で搾取してきた経済構造にも問題がある」と指摘する。不法移民は建設現場などでも貴重な働き手となっており、移民の労働力に頼ってきた米国経済のあり方も、トランプ政権下で問われている。

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