安楽死を深く考察…「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」主演のティルダ・スウィントン「成長とハッピーエンドの映画」
読売新聞 / 2025年2月1日 14時0分
安楽死を望むマーサ(ティルダ・スウィントン、右)はイングリッド(ジュリアン・ムーア)に最期の日まで隣の部屋にいてほしいと頼む(c)2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.(c)El Deseo. Photo by Iglesias Más.
人生の閉じ方を、誰が決め、どう迎えるべきか――。スペインのペドロ・アルモドバル監督の新作「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」(公開中)は、人間の尊厳と死について深く問いかける物語だ。安楽死を選択する主人公を演じたティルダ・スウィントンは「自分の人生を完全に生き抜くことは、一種の人生の勝利と言える。成長とハッピーエンドの映画」と表現する。(木村直子)
末期がんのマーサ(スウィントン)は、自分らしく人生を終えるため、旧友のイングリッド(ジュリアン・ムーア)にある計画を明かす。治療をやめ、安楽死を選択すること。そして、最期のその日まで、隣の部屋にいてほしいと頼む。
人の気配を感じながら、誇りと自立を保つ。心身が弱っているマーサにとって、ほどよい距離感だ。
「重要なのは彼女たちが互いのために、そこにいるという事実。互いを見て、耳を傾けますが、干渉はしません。影響を与えようとも、裁こうともしない。ただ、そこにいるだけです」
大切な人をみとってきた体験が、みとられるマーサを演じるうえで影響したという。例えば、デレク・ジャーマン監督(1994年死去)との別れだ。ベネチア国際映画祭の最優秀女優賞に輝いた「エドワード2」など数々の協働で知られる。「私にとっての、最初のマーサでした。HIVと診断され、(当時の医療水準で)明らかに長く生きられない、とわかった瞬間からの彼の態度や人生への向き合い方から、多くのことを学んだ」
みとりは伝統的に肉親や医療従事者の役割とされてきた。本作では、見舞いをきっかけに交流が復活した元同僚で親友のイングリッドが担う。「この映画が素晴らしいと思うのは、古い友人との再会について多くのことを語っているから。それは結婚や子供の成長、キャリア全体の大きな波を経て、人生のある段階で頻繁に訪れる、本当に素晴らしい宝物です」
合法性や定義が各国で異なる安楽死の問題にも踏み込み、昨年のベネチア国際映画祭でグランプリの金獅子賞に輝いた。スウィントンは「安楽死とは厳密には本人ではなく、誰かの手に人生や死を委ねることなので、その言葉を使うのはためらわれる」と言う。尊厳ある死をテーマに含んだ「楢山節考」(木下恵介監督)や「PLAN 75」(早川千絵監督)という新旧の日本映画を引用しながら、「どのように死にゆくかは、どう生き続けるかに関すること」と強調する。
「人々は早いうちから、その疑問を持ち始めるべきだと思います。早すぎることはありません。そして、マーサのように、ただ最期まで生き続ける。それは『偉大な英雄』と言えます」
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