自公維の高校無償化協議、焦点は所得制限…維新の「撤廃」案を与党がどこまでのむか
読売新聞 / 2025年2月2日 17時41分
自民、公明両党と日本維新の会の高校授業料の無償化協議では、維新が大阪府内で取り組み、全国化を目指す「私立を含めた所得制限の撤廃、支援拡充」を自公がどこまでのむかが焦点となっている。自民内には、維新案を巡り、財源や私立高に人気が集中するといった弊害が生じることへの懸念がある。
全国初
「所得制限は撤廃すべきだ。公立も私立も高校授業料は無償化にしようという考え方だ」
維新の吉村代表(大阪府知事)は1月31日、府庁で記者団にこう述べた。
大阪府は維新創設者の橋下徹氏が知事だった2010年度、国の就学支援金制度に上乗せする形で、全国で初めて私立高無償化の取り組みを始めた。
当初は年収350万円未満の世帯だけだったが、対象を広げ、今年度から段階的に所得制限を撤廃し、26年度に完全無償化を実現する。公費負担の上限は63万円で、超過分は学校が負担する仕組みだ。府によると、必要な予算は年約380億円で、行財政改革などで生み出した財源を充てるとしている。
アピール戦略
国の就学支援金制度では、公立高に通う年収910万円未満の世帯は授業料が無償化されている。
私立高の場合、年収590万円未満の世帯に年39万6000円、年収590万円以上910万円未満の世帯には年11万8800円を上限に助成される。
ただ、年収910万円以上の世帯については公立、私立とも対象外だ。
東京など40都道府県は助成額を独自に上乗せするなどしている。都の今年度からの支援は、所得制限なしで都内私立高の年平均授業料48万4000円が上限となっている。
維新の高校無償化案は「大阪方式」がモデルだ。25年度分から私立高に通う世帯の助成額を一律で63万円に引き上げ、所得制限を撤廃することを主張しており、必要な財源は年約6000億円と見積もる。
維新は今年4月から少なくとも、助成額の拡充や所得制限の緩和を実現し、夏の参院選で実績をアピールする戦略を描く。
落とし所
与党は無償化の拡大自体は受け入れる構えで、助成額や所得制限の見直しの規模で今月中旬までの合意を目指し、維新との落とし所を探っている。
吉村氏も31日、「(全国で)完全に大阪方式を採用すべきだとは思っていない。地域事情もある」と語り、助成額63万円にはこだわらない姿勢を見せた。その一方、「高校生を育てる年収590万円世帯が高所得者だとは思わない」と現行の所得制限の課題を指摘した。
石破首相(自民総裁)は国会答弁で「安定的な財源」を重視する立場を繰り返し示しており、自公維の協議では新たな財源探しが必須となる。
また、独自の無償化が先行している東京や大阪では、私立高に人気が集まる一方、公立高の定員割れが増えている。自民の文部科学相経験者は「全国で無償化を拡大する場合、私立高が少ない地方への配慮など、細やかな検討が必要だ」と述べた。
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