フェイスブック 偽情報を抑止する責務果たせ
読売新聞 / 2025年2月2日 5時0分
世界で膨大な利用者を抱えるSNSを運営する企業には、虚偽の情報が拡散しないようにする責務がある。それをないがしろにすれば、信頼を失うと認識すべきだ。
フェイスブックやインスタグラムなどのSNSを運営する米メタは、虚偽の内容が含まれていると判断した投稿を削除する「ファクトチェック」について、米国内で廃止する方針を発表した。
メタは、トランプ米大統領が1期目の当選を果たした2016年の大統領選で、虚偽の情報が横行したことを受け、民間の非営利組織などの第三者機関に委託して、真偽を判定してもらっていた。その方針を転換する。
トランプ氏がファクトチェックを検閲だと批判しているため、廃止を決めたとみられている。
この方針転換に対し、世界から懸念の声が上がっている。偽情報の拡散に歯止めがかからなくなることを危惧せざるを得ない。
メタの最高経営責任者(CEO)であるマーク・ザッカーバーグ氏は声明で、「表現の自由の回復に注力する」との考えを示した。一方、「悪質な投稿を発見する可能性は低下する」とも認めた。
メタは米国だけでなく、世界中で、数十億人の利用者を抱える巨大IT企業である。その責務を放棄するかのような姿勢は容認しがたい。欧州の偽情報対策を検閲だと批判しているのも筋違いだ。
メタは新たに、利用者同士で投稿の真偽をチェックできる「コミュニティーノート」と呼ばれる機能を導入するという。
同様の仕組みは、X(旧ツイッター)が導入済みだが、偽情報の抑止効果は限定的だ。ドイツやオーストリアの60以上の大学や研究機関は1月、言論空間の在り方を問題視し、Xの利用を中止するとの共同声明を発表した。
メタも健全な言論空間を守る努力を怠れば、利用者離れを招くことを肝に銘じるべきだ。
メタは、ファクトチェックとは別に、人工知能(AI)などを活用し、差別や偏見、暴力を助長しかねない投稿を自動的に削除する仕組みは継続する。こうしたチェックを緩めてはならない。
日本政府も対応策に取り組んでいる。関連法の改正で
メタは米国とは異なり、日本でのファクトチェックは昨年9月に始めたばかりだ。その姿勢を後退させないよう、政府が厳しく監視していく必要がある。
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