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孤立妊婦の支援 新しい命を大切に育めるよう

読売新聞 / 2025年2月2日 5時0分

 予期せぬ妊娠を誰にも相談できず、孤立する女性が後を絶たない。出産後に、追い詰められて子どもを虐待したり殺害してしまったりする例も目立っている。

 新しい命を大切に育める仕組みづくりが必要だ。

 宮城県塩釜市で先月、自宅で一人で出産した若い母親が、生まれたばかりの赤ちゃんを雪の中に埋めて殺害したとして逮捕されるという事件が起きた。

 詳しい背景は不明だが、最悪の事態を避ける手立てはなかったのか。本来なら喜んで迎えられるべき新しい命が親によって絶たれるとは、あまりにも痛ましい。

 こども家庭庁によると、2022年度に虐待で命を落とした子どもは56人に上り、このうち15人が生後まもなく死亡している。加害者は実母が最も多い。

 少子化が進む一方で、幼い命が失われている。どうしたら防げるか、社会全体で考えたい。

 困難を抱えて孤立し、支援が必要と自治体が認定した妊婦は20年度に8327人と、10年前の10倍近くに増えた。失業による生活苦、交際相手らの暴力、若すぎる妊娠など、事情は多岐にわたる。

 まずは孤立する妊婦のための相談窓口を充実させ、SNSなどで発信し、若い人に周知するようにしてもらいたい。

 国は今年度、孤立した妊婦の支援拠点の運営費を補助する事業を始めた。妊婦に一時的な滞在場所や食事を提供し、出産から自立までの手助けをする自治体やNPO法人などを支える狙いがある。

 ただ、こうした支援拠点があるのは昨年10月時点で埼玉、兵庫、愛媛、沖縄県など20自治体にとどまっている。国は先行事例の情報を提供し、他の地域でも応用できるようにしてほしい。

 拠点づくりどころか、助産師や看護師ら、妊娠中のケアをする専門人材が足りない地域も多い。子育てのためにいったん離職している人材などを活用できないか。

 出産後に育児や就業の助言をし、自立を促すことも大切だ。どうしても本人が育てられないのであれば、養子縁組などの選択肢を探る必要もある。

 また、相手の男性の責任も見過ごせない。支払い能力のある男性には、子育ての費用を負担するよう促していくべきだ。

 ただ、男性側も貧困などの事情を抱えている場合がある。カップルと子どもが家族として生活できるよう、後押ししていくことも検討課題だろう。

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