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キャベツの値付けに悩むスーパー、札幌では1玉780円の店も…例年なら198~298円

読売新聞 / 2025年2月2日 9時57分

スーパー新時代<下>

 イオン、コープ、ロピア……。昨年12月23日午前、アークスグループの中核スーパー「ラルズ」で青果の仕入れを担当する佐藤大知さん(47)は、札幌市内のスーパーを巡りながらキャベツの値付けに悩んでいた。記録的な猛暑による不作で全国的に高騰し、ラルズでは当時、1玉480円で販売していた。

 佐藤さんが市内で確認した価格は1玉あたり398~780円程度と、ばらつきがあった。そもそも、キャベツの相場は冬場で198~298円。仕入れ値を考えれば値上げは避けられないが、500円超で手にとってもらえるだろうか――。しゅん巡しながら自社へ戻り、心を決めた。「580円に上げる」

 人口が集中する札幌圏でスーパーの競争が激化する中、長引く物価高は各社の経営を圧迫している。そこで地域密着型のアークスは昨年、生産者と消費者の双方が折り合う「納得価格」を目指すという戦略を打ち出した。値上げは避けられないとしても、それに見合う良質な商品を提供するという考え方だ。

 ラルズのバイヤーは、市場での情報収集や契約農家との連携を強化。道の駅などで直販されている野菜もチェックするなど、より鮮度が高く安い商品を追い求めている。

 キャベツの高騰が春先まで続きそうな状況を踏まえ、昨年11月頃からは、価格が変動しにくいカット野菜の入荷を増やした。キャベツのほかレタス、パプリカなどが入って1パック200~300円程度。佐藤さんは「物価高の中でもより安く、消費者が必要とする商品を仕入れることで、ラルズを選んでもらいたい」と話す。

 アークスと同様、台頭する新興スーパーを迎え撃つ立場のイオン北海道も、ターゲットとするファミリー層を意識した仕掛けづくりを進める。昨年11月には、「イオンモール札幌苗穂」(札幌市東区)を刷新。AR(拡張現実)技術を活用した体験型エリアや、道産木材を使った「もくいくひろば」などを新設した。

 食品のほか、幅広く日用品を取りそろえる商業施設として、「毎日に寄り添う」という姿勢も強調する。「働き方改革」が進み、小売業全体で元日や1月2日に休む風潮が広がる中、イオンは今年もほぼ全店で元日から営業。札幌市西区の「イオンモール札幌発寒」では、開店前に1000人以上が行列を作った。母親らと訪れた札幌市西区の会社員(36)は「毎年好きなアパレルブランドの福袋を買う。なんでもそろうので普段からよく来る」と話す。

 イオンは昨年10~12月、道内から撤退した西友の全9店舗を「マックスバリュ」などに改装した。帝国データバンク札幌支店の柳沢康行参与は「週末に家族連れを呼び込むスタイルが定着している。西友の分の店舗が増え、売り上げを伸ばすのは確実だ」とみる。

 売上高で4年連続の道内首位を維持するイオン北海道の独走はいつまで続くのか。プレーヤーが入れ替わる中、各社はそれぞれの戦略で、激化する競争に臨んでいる。

 (この連載は宮下悠樹が担当しました)

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