カナダ・メキシコ・中国へのトランプ関税、4日から発動…「不法移民や合成麻薬の流入を阻止」
読売新聞 / 2025年2月2日 21時43分
【ワシントン=田中宏幸】米国のトランプ大統領は1日、カナダとメキシコからの輸入品に対して25%の関税、中国に対して10%の追加関税を課すための大統領令に署名した。関税はいずれも4日の発動で、不法移民や合成麻薬フェンタニルの米国への流入を阻止するための措置としている。カナダ、メキシコは対抗措置の実施を明言しており、関税引き上げの応酬につながる恐れがある。
先月20日の第2次トランプ政権発足後、新たな関税の決定は初めて。
大統領令では、4日午前0時1分(日本時間午後2時1分)以降の輸入分から関税を適用し、不法移民などによる「米国の危機が緩和されるまで」続けるとした。カナダ、メキシコ、中国が米国からの輸入品に報復措置を取った場合には、関税のさらなる引き上げなどを実行することも明記した。
米国とカナダ、メキシコは、一定の条件を満たせば関税がかからない自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を結んでいる。米国は現在、カナダとメキシコからの輸入品に原則、関税を課していないが、今後は25%の関税を課す。ただ、米国内のエネルギー価格の上昇を防ぐため、米国の原油輸入量の約6割を占めるカナダ産原油などの関税は10%とする。
一方、中国からの輸入品には現在も関税が課されており、今後は10%が上乗せされる。
トランプ氏は、自身のSNSへの投稿で、「これは、不法移民と合成麻薬を含む致死性薬物の流入が、米国民を脅かしているという重大な脅威に対処するための措置だ」と強調した。今回の関税は、不法移民などの問題が、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく「緊急事態」に該当すると認定した上での措置となる。同法に基づく関税の決定は初めてだ。
USMCAは、第1次トランプ政権下の2020年に発効した協定だが、今回の米国の対応で事実上凍結される公算が大きい。米国の国・地域別の輸入額はメキシコが1位、中国が2位、カナダが3位で、経済関係が深い3か国との経済的な対立は、世界的な貿易の停滞や経済成長の鈍化につながる恐れもある。
また、関税は輸出する国の企業ではなく、製品を輸入する国の企業が支払う仕組みだ。関税分が米国内での販売価格に転嫁されれば、米国内のインフレ(物価上昇)を再燃させ、米経済に負の影響を及ぼす可能性もある。
◆国際緊急経済権限法=米国の安全保障や経済への重大な脅威となる国との貿易について、大統領が規制をかけることができると定めた法律。事前調査などの厳格な要件はなく、大統領が緊急事態を宣言することで迅速に関税を発動できる。
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