福井県の寒ブリが記録的な豊漁、例年の21倍に…一方で水産庁は漁獲枠設定の方針を表明
読売新聞 / 2025年2月3日 7時56分
福井県内の漁港で昨年12月に水揚げされた寒ブリが702トンに達し、統計の残る1992年以降で最多となった。2023年までの同月平均と比較しても21倍という記録的な豊漁で、専門家はその原因として海水温の高止まりと資源量の増加の影響を挙げる。一方で、水産庁が資源管理のために今春から漁獲枠を設ける方針を示したため、活気づいていた若狭湾の漁業者に波紋が広がっている。(高山智仁)
県海洋資源研究センター(敦賀市)によると、ブリは西日本を中心に北海道から九州まで広い範囲に生息し、夏場は南方から北海道沖へ北上。冬になると福井沖を通って南下する。若狭湾は日本海側が荒れやすい冬でも、リアス式海岸の入り組んだ地形で波が穏やかなため、寒ブリの好漁場となっている。
特に近年は12月の漁獲量が異様な増加傾向を見せている。20年には過去最多を更新する90トンを記録。23年は250トンにまで伸び、24年はさらにその3倍近くになった。だが、年間を通じて水揚げが顕著に増えているわけではなく、12月が多くなる詳細な要因は、はっきりしないのが現状だ。
同センターの担当者は「近年、海水温が高い状態が続いていることで、暖かい海を好むブリが繁殖しやすくなり、資源量自体が増えたのではないか」と推測する。
それでも漁業関係者は豊漁に沸いており、美浜町の日向漁業協同組合の高橋武一組合長は「1月に入ってからは、しけで漁に出られない日が多いが、出漁できれば大漁という状態は続いている」と喜ぶ。
ところが、そんなタイミングで水産庁がブリの漁獲枠を設定する方針を表明した。県内の漁業者らとは1月17日に意見交換会を開催。4月から全国で10・1万トンの漁獲枠を試行すると説明したため、漁業者から「豊漁なのに漁が制限されるかもしれない」などと警戒の声が上がった。
ただ、当面は各都道府県などに個別の漁獲枠を割り当てたり、超過した場合に漁獲の停止命令を出したりする予定はないという。同庁は26年6月まで漁業者から漁獲量のデータを集め、各都道府県への割り当てを検討。漁獲停止命令を伴う資源管理は、28年度からの実施を目指している。
県水産課の担当者は「漁獲制限の実施までは県内のブリ漁への影響は、ほぼないだろう」と分析。同庁の担当者は「資源管理を行って供給の安定を目指し、水産業を成長産業にしたい」と理解を求める。
それに対し、高橋組合長は「漁獲の制限により、若者に魅力的な収入が得られなくなれば、世代交代も進まず、死活問題だ。慎重に対応してほしい」と訴える。
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